院長インタビュー

地域の人々の健康をサポートし、豊かな生き方を支援する原土井病院

地域の人々の健康をサポートし、豊かな生き方を支援する原土井病院
原 寛 先生

医療法人原土井病院 理事長、学校法人原学園 理事長、社会福祉法人多々良福祉会 理事長、能...

原 寛 先生

目次
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原土井病院は、1967年に33床の病院として開設されました。その後、福岡市東区で暮らす方の求める医療を提供するため、多様な医療機能の整備や治療の充実に力を注いできました。特に、高齢の方ができるだけ長く豊かな生活を送れる地域づくりに貢献するため、高齢の方特有の病気の治療や、各種リハビリテーション、在宅医療などに力を入れています。

社会の高齢化が進むなかで、地域の方の健康を支える多様な取り組みについて、原土井病院の理事長を務める原寛先生にお話を伺いました。

原土井病院 外観
原土井病院 外観

社会の高齢化が進むなかで、病気そのものの治療と同様に、健康のサポートを重視しなければならないと考えるようになりました。地域の方のなかには、ご自宅で健康な生活をできるだけ長く続けることを望む方が多くいらっしゃいます。そのため当院では、慢性期・回復期医療を提供し、患者さんが退院後の生活に不安がなくなるまでサポートしています。

当院は、地域の方が年齢を重ねても健康を維持し、地域やご自宅での暮らしを続けることができるよう支援してまいります。

総合診療科とは、患者さんを多角的に診察する診療科です。特に高齢の方は、ひとつの病気だけでなく、複数の病気を抱えている方が多くいらっしゃいます。それは、歳を重ねて体力が衰えたことで病気にかかりやすく、さらにその病気が重症化しやすい状態(フレイル)であるからです。

当院の総合診療科は、多角的な診察によって、診療科の枠にとらわれない治療を提案できることが強みです。合併症をお持ちの方や、地域での包括的なケアを要する方に対しても、一人ひとりに柔軟な治療を提案し、地域の方の健康をサポートしていきます。

リハビリテーションの様子
リハビリテーションの様子

高齢の方は、病気をきっかけに生活機能が低下し、寝たきりの状態に陥る恐れがあります。そのため、当院のリハビリテーション部では、手術後早い段階からリハビリを実施し、生活機能の低下を防いでいます。

患者さんは、もとの生活に戻りたい、自分で食事を楽しみたいといったさまざまな要望をお持ちです。リハビリテーション部には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍しており、患者さんの希望に応じたリハビリを提供する環境が整っています。患者さんと真摯に向き合い、一人ひとりの患者さんに合ったオーダーメイドのリハビリを提供します。

メディカルフィットネスの様子
メディカルフィットネスの様子

高齢化の進む現代社会において、地域の方に対して病院ができることは、治療だけではありません。治療も大切ですが、それ以上に病気にかかる前に行動を起こすこと、つまり病気を予防して健康を維持することが重要です。

当院では、健康維持や健康増進を目的とした施設として、運動型健康増進施設「メディカルフィットネスあおば」を用意しています。「メディカルフィットネスあおば」では、医学的要素を取り入れた筋力トレーニングや有酸素運動を行うことができます。

糖尿病などの生活習慣病を抱える方には、健康運動指導士の資格を持つ職員が、個別にトレーニングのプログラムを作成し、運動指導を行います。

健康の維持と増進のどちらも行うことができる施設ですので、病気を抱える方もそうでない方もぜひご利用ください。

先ほどお話したように、高齢の方が一度フレイルの状態になると、もとの健康な体に戻ることは容易ではありません。それゆえ、健康なときから病気の予防対策を取る必要があります。

そこで、当院では地域の方に対し、健康に関する情報を発信しています。具体的には、健康教室の実施や広報誌の発行、インターネット上での情報発信などを通して、地域の方に健康の大切さをお伝えしています。

これからも情報を積極的に発信し、地域の方がいきいきと暮らせる地域社会の構築に貢献していきます。

近年、退院した患者さんがご自宅での生活に戻り、医療の断絶が生じることが問題になっています。そこで当院では、地域の医療機関や福祉施設との連携強化を図り、病気を抱える方が切れ目なく地域で治療を続けられるような環境づくりに取り組んでいます。

当院では、地域の医療機関との連携の窓口として、患者支援センターを設置しています。患者支援センターでは、入退院の受け入れや患者さんの医療や介護に関するご相談を承っています。これにより、退院を控えた患者さんが地域で医療支援を受け続けられるよう、医療ソーシャルワーカーが福祉施設との橋渡しを担っています。

当院は、地域の方のご自宅での生活を支えるために、訪問リハビリテーションを実施したり、デイケアなど事業所を運営したりしています。今後は、長期的な介護や療養を必要とする方に対して、よりいっそうの医療支援を図るために介護医療院の運営も検討しています。

現在の医学部での教育は、専門に特化することを是としています。しかし、医療現場で求められる能力は、総合的に患者さんを診ることができる知識や技術です。特に、地域医療の現場では、診療科の枠にとらわれない診療や、職種の境のないチーム医療が求められています。

若手医師の皆さんには、柔軟性を持ち、総合力を高めていってほしいと願っています。

今後、日本はさらに高齢化の進む社会となるでしょう。地域の皆さんができるだけ長く健康な生活を続けるためには、ご自身の健康をご自身で維持することが大切です。

年齢を重ねるごとに、体力低下や疲れやすさを感じることが増えたという方が多くいらっしゃいます。健康に不安を感じる何らかの兆候が見られた際に、そのまま放置してはいけません。まずは、健康診断を受診し、ご自身の体について知りましょう。そのうえで、運動やストレッチなどで体力強化を図り、病気の治療と健康管理につなげることが重要です。

地域の皆さんには、ご自身の健康状態を正確に知り、健康維持を図るために、当院を利用していただきたいと考えています。当院が健康増進の場となり、地域の方の豊かな生活を支える場となるよう、さらなる努力を重ねてまいります。