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自治医科大学附属病院の初期研修プログラム―総合力のある医師を育てる『救急麻酔ICUパック』とは?

自治医科大学附属病院の初期研修プログラム―総合力のある医師を育てる『救急麻酔ICUパック』とは?
原 鉄人 先生

自治医科大学附属病院 病院助教

原 鉄人 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年09月10日です。

自治医科大学附属病院は、同院が位置する栃木県の地域医療の拠点として重要な役割を担っており、一次医療から三次医療まで幅広い診療を行っています。さらに同院は、これからの日本の医療を支えるため、全身把握、全身管理能力に長けた総合力を備えた医師の育成に力を入れています。2019年、同院では、総合力を備えた医師を育成するために、救急科、麻酔科、集中治療室(ICU)の3つの診療部門を集約した『救急麻酔ICUパック』という初期研修医向けの研修プログラムを構築しました。『救急麻酔ICUパック』とは、いったいどのような内容なのでしょうか。同院の麻酔科*原鉄人先生にお伺いしました。

*麻酔科標榜医:竹内 護先生

救急麻酔ICUパックは、2019年4月より実施している、自治医科大学附属病院が初期研修医を養成するために構築した研修プログラムです。救急科、麻酔科、集中治療室(ICU)の計3つの診療部門での研修が1つのパックに集約されています。研修期間は、救急科が8週間、麻酔科・ICUいずれか8週間、合計16週間です。

研修を行う救急科、麻酔科、ICUには、それぞれ次のような特徴があります。

  • 救急科

救急科は、搬入された患者さんの重症度を適切に判定して、多職種のスタッフと協力するチーム医療で、病状の安定化を目的とした治療にあたる診療科です。

  • 麻酔科

麻酔科は、すべての診療科の基礎となる知識、技術が必要な診療科です。急性期の呼吸循環管理の基礎を実践している診療科です。

  • ICU

ICUは、生命の危機にさらされている重症患者さんを、集中的な治療をしながら、24時間濃密に観察する診療科です。

当院では、患者さんの全身把握や全身管理に長けた、総合力がある医師を養成したいと考えています。そこで、あらゆる傷病の患者さんがいらっしゃる3つの診療科の研修に専念してもらえるよう、救急麻酔ICUパックを構築しました。救急麻酔ICUパックを受けることで、4か月間で、効率的に総合力を鍛えることができるでしょう。

研修プログラム例

2020年度以降、2年間の初期臨床研修期間において、救急科は12週間以上の研修が必修となっています。そのうちの4週間は、麻酔科の研修であっても、救急科の研修として認められています。つまり、当院の救急麻酔ICUパックを受けると、初期臨床研修の必修科目である、救急科12週間の習得が可能です。

救急麻酔ICUパックは、救急科、麻酔科、ICU 以外の診療科の研修を間に挟まず、4か月間にわたって3つの診療部門を連続して研修を受けることができます。そのため、全身把握や全身管理能力を養うことに専念することができます。

たとえば「救急科の現場についていくことに必死で、この部分をじっくり習得できなかった。翌月麻酔科を回るときに、この部分を習得しよう」など、学ぶ目的を明確に持って取り組むことができるため、知識や手技を身につけやすくなります。さらに、前の診療部門で学んだことをさらに深く学んだり、経験をすぐに活かせたりすることもできます。

救急麻酔ICUパックを受けることで、3つの診療部門がどのような仕事をしているのか、深く理解することができます。たとえば、将来外科医になり、患者さんの手術が決まったときに、「麻酔科にはこのタイミングで手術の予定を伝えたほうがよいだろう」と、麻酔科を研修した経験をいかして考えることができるようになります。

さらに、この3つの診療部門は、1人の患者さんを中心に、各診療部門の医師や多職種のスタッフなどが多く関わる診療科です。そのため、3つの診療部門で研修を受けることにより、多職種の仕事の役割を理解できるようになったり、コミュニケーションスキルを培ったりすることができます。ここで学んだこと全てが、きっと将来のチーム医療にいかせるでしょう。

気道確保法や心肺蘇生法は、医師として必ず身につけていただきたい医療技術です。なぜなら、ご自身が選択された診療科で診察しているときに、患者さんの呼吸や心臓が止まってしまうことが起こらないとも限らないからです。

救急科、麻酔科、ICUの3つの診療部門は、ほかの診療科と比較すると、気道確保法や心肺蘇生法をしっかりと学べる診療部門です。医師として、最低限身につけるべき知識と技術は、当院の救急麻酔ICUパックを受けることで習得できるでしょう。

原先生

後期研修医になると専門分野に進むため、ほかの診療科に足を運ぶことが難しくなります。そのため、初期研修医のときにしか経験できないことは多く、その経験は後期研修で大いに役立ちます。私は麻酔科医として患者さんの全身把握をする際、初期研修医のころに経験したことや感じたことが、実際に役立っています。

初期研修医の2年間は、覚えることばかりで慌ただしい期間ですが、ぜひ皆さんはさまざまな診療科や病棟に足を運んで、患者さんと話したり、現場を肌で感じたりして、多くの経験を積んでください。

麻酔科医である私から、麻酔科の魅力を、少しお伝えしたいと思います。

麻酔科医が行う手術の麻酔管理は、患者さんの体の状態を全て把握していないと、実施できないものです。また、手術中にトラブルが発生したときに、そのトラブルをリカバリーする知識と技術を持っているという自信がなければ、麻酔科医は務まりません。

麻酔科は、科学者として「人を把握」し、医者として「この患者さんをよい状態にもっていく」ということを、一生懸命行っている診療科です。責任が重いぶん、大きな充実感が味わえる診療科です。

救急麻酔ICUパックは、初期研修医全員に受けていただきたいくらい、魅力的なパックだと思っています。救急麻酔ICUパックで得られる経験から、全身把握や全身管理能力を養うことで、患者さんに安心してもらえるような、総合力を備えた医師になってください。

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