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インフルエンザA型は1シーズンに2回かかることもある――繰り返しかかるパターンと予防方法

インフルエンザA型は1シーズンに2回かかることもある――繰り返しかかるパターンと予防方法
大曲 貴夫 先生

国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長、AMR臨床リファレンスセンター ...

大曲 貴夫 先生

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インフルエンザは急な発熱や全身の筋肉痛などを症状とする感染症です。インフルエンザに一度かかると、抗体ができるため再度かかることはないと考えている人も多いのではないでしょうか。しかし実は、同一シーズン内であってもインフルエンザに繰り返しかかることがあります。日本で冬に流行するインフルエンザにはA型とB型がありますが、同じ型のインフルエンザに2回かかることもあります。これはどのような理由によるものなのでしょうか。また、繰り返しかからないためにはどうすればよいのでしょうか。

同じシーズン中でもインフルエンザに2回かかることがある理由は、インフルエンザの原因ウイルスであるインフルエンザウイルスにいくつかの種類があるためです。通常、一度インフルエンザにかかると、その原因ウイルスに対しては抗体が作られ、繰り返しかかることはありません。しかし、その抗体は違う種類のインフルエンザウイルスには効果がないため、同じシーズン中に2回インフルエンザにかかることがあるのです。

2回インフルエンザにかかるパターンとしては、次の2つがあります。

インフルエンザA型の場合、一度かかったあとに再びA型に感染することがあります。これは、インフルエンザA型には「亜型」と呼ばれるいくつかの種類があるためです。現在、国内で流行しているインフルエンザA型の亜型はH1N1型とH3N2型の2種類であり、一方の亜型に感染したのちに、もう一方の亜型に感染することがあります。

病院で行うインフルエンザ迅速検査では、インフルエンザA型かB型かはわかりますが、A型のどの亜型に感染しているかまではわかりません。そのため、病院では「インフルエンザA型」とだけ診断され、同じインフルエンザに2回かかったように見えるのです。

もう1つのパターンとしては、インフルエンザA型の次にB型にかかるというものです。これらは原因となるインフルエンザウイルスが異なるため、一方の型のインフルエンザに感染したあとに別の型にも感染することがあります。

また、その年の流行パターンにもよりますが、インフルエンザA型とB型では流行のピークが異なる場合があります。例えば、2018年冬~2019年春のシーズンでは、シーズンの始まりはA型の多かったものの、徐々にB型の割合が増え、2019年の春先にはB型がA型を上回る結果となりました。近年ではこのようにA型のピークの後にB型のピークが来ることが多いため、インフルエンザA型の次にB型にかかるパターンは、インフルエンザに2回かかるパターンとして比較的よくみられるものであるといえます。

インフルエンザの流行パターンはその時期によって異なるため、インフルエンザA型とB型が同時に流行することがないとは言い切れません。流行のピークが重なった場合は、短期間のうちに2つの型のインフルエンザにかかることもあると考えられます。

例えば、2017年冬~2018年春にかけてのシーズンでは、B型の割合が例年に比べて多く、流行時期もA型とB型で差はみられませんでした。このような流行の特徴は混合流行と呼ばれ、インフルエンザの患者数が増える原因のひとつになると考えられています。

インフルエンザに2回かからないようにするためには、一度かかったからといって油断せずに、シーズンを通して予防対策を怠らないことが大切です。

有効な予防対策としては、以下のものがあります。

インフルエンザワクチンの予防接種は、予防対策として非常に効果的です。予防接種だけでインフルエンザウイルスへの感染を完全に防ぐことはできませんが、感染しにくくしたり、発症した場合の症状を軽減したりすることができます。

予防接種の効果は、その年に作られるワクチンがターゲットとするウイルスの種類と、実際の流行状況によって異なります。どのようなワクチンが作られるかは国の流行予測によりますが、大きな流行が予測される場合は1つのワクチンでA型とB型の両方に効果があるものが作られる場合もあります。

インフルエンザの基本的な予防対策は、インフルエンザウイルスとの接触を避けることです。インフルエンザが流行している時期には人混みを避けたり、マスクを着用したりしてなるべくインフルエンザウイルスを体内に入れないようにしましょう。また、外出後は手洗いやうがいを徹底することも大切です。これらの基本的な予防対策は予防接種の有無にかかわらず心がけるようにしましょう。

インフルエンザにはいくつかの種類があるため、種類を変えて2回かかる場合があります。一度かかったからと言って安心せずに、シーズン中は予防対策を心がけるようにしましょう。また、インフルエンザの流行パターンによっては繰り返しかかりやすくなる場合もありますので、流行前にインフルエンザワクチンを接種し、感染に備えるようにしましょう。

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