概要
インフルエンザA型とは、A型インフルエンザウイルスに感染することで発熱、喉の痛み、倦怠感、関節痛などの症状を引き起こす病気のことです。毎年11月下旬ころから翌年3月頃まで全国的に流行し、重症な場合は肺炎や脳症などを併発する場合もあります。
インフルエンザA型はインフルエンザの中でもっとも多くみられ、100以上もの種類が知られていますが、ヒトに感染するのは限られたタイプのみです。しかし、突然変異が起こりやすいウイルスが多いため、大流行を引き起こすこともあります。
治療は抗インフルエンザ薬を用いた薬物療法のほか、症状を緩和するための対症療法が行われます。また、インフルエンザA型には毎年流行するタイプの予想に基づいて作られるワクチンが開発されており、流行時期前に接種することで感染や重症化を予防することが可能です。
原因
インフルエンザA型はインフルエンザウイルスの一種であるA型インフルエンザウイルスに感染することによって引き起こされる感染症の1つです。一度感染したウイルスには免疫ができますが、A型インフルエンザウイルスはいくつものタイプがあるうえに突然変異を起こしやすいため、毎年流行するのが特徴です。
なお、A型インフルエンザウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染とされています。飛沫感染とは感染者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるA型インフルエンザウイルスを吸い込むことによる感染経路であり、接触感染とは感染者から排出されたA型インフルエンザウイルスが付着したものに触れることによって感染する経路のことです。
症状
インフルエンザA型は感染してから1~3日ほどの潜伏期間を経て38℃以上の発熱、倦怠感、関節痛、頭痛、喉の痛み、鼻水、咳などいわゆる“風邪”のような症状が引き起こされ、1週間程度で改善していきます。しかし、一般的な風邪よりも症状が強いことが多く、高齢者や子ども、基礎疾患をもつ人などは重症化して肺炎や気管支炎、中耳炎などを合併するケースも多く入院が必要になることもあります。
また、小児ではまれに急激に脳炎や脳症を併発することがあり、1~3割は救命が困難になるとされています。
検査・診断
流行期であれば、特別な検査をすることなく症状のある人との接触の有無などの病歴や症状から診断できることもあります。
検査を行う場合、簡易診断キットによる検査が広く行われており、鼻の奥を綿棒で擦って採取した“拭い液”の中にA型インフルエンザウイルスが含まれているか調べます。特殊な機器を必要とせず5~15分ほどで診断することが可能です。ただし、発症して間もない時期に検査をしても正確な検査結果が出ないことがあるため注意が必要です。
肺炎や脳症などの合併が疑われる場合は、X線、CTなどを用いた画像検査や、血液検査などが必要になることもあります。
治療
インフルエンザA型では、抗インフルエンザ薬を用いた薬物療法が行われます。ただし、症状が出てから2日以内に投与を開始する必要があるため、診断が遅れると効果が薄れることがあります。
また、抗インフルエンザ薬は症状を軽快させ、治るまでの時間を短縮できる効果が期待されていますが、一般的には発熱に対する解熱剤投与や脱水に対する点滴治療、呼吸困難に対する酸素投与など症状を緩和させるために対処療法を並行して行います。
予防
A型インフルエンザウイルスへの感染を予防するには、外出時のマスクや手洗い・消毒などの基本的な感染対策を徹底することが大切です。
また、インフルエンザA型の予防はインフルエンザワクチンが有効であるため、流行時期の前に接種することがすすめられています。特に重症化しやすい高齢者では、入院のリスクを低下させることが期待できます。さらに、家族など身近な人がインフルエンザA型に感染した際は、感染すると重症化しやすいと考えられる場合*に、予防的に抗インフルエンザ薬を内服することが可能です。
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