編集部記事

インフルエンザ「A型」の症状は毎年変わるのか

インフルエンザ「A型」の症状は毎年変わるのか
井上 陽介 先生

湯沢町保健医療センター 地域家庭診療部 病院管理者

井上 陽介 先生

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日本では12~3月頃にインフルエンザが流行し、例年約1千万人が感染しているとされています。インフルエンザウイルスは構造の違いによってA型・B型・C型に分かれ、このうち主に人に感染するのがA型とB型です。特に大流行の原因となるのがA型ですが、A型インフルエンザウイルスに感染した場合どのような症状が現れるのでしょうか。また、A型とB型で症状や重症度の違いはあるのでしょうか。

A型インフルエンザウイルスに感染すると、1~4日程度の潜伏期間を経て発症します。インフルエンザA型の症状は、急激な高熱、頭痛筋肉痛・関節痛などの全身症状が特徴で、併せて咳や喉の痛み、鼻水などの症状がみられることもあります。ただし、熱が出ない場合や症状が軽い場合もあります。

なお、B型においても同様の症状がみられます。型による症状の違いはほとんどないので、症状から型を区別することは難しいでしょう。

毎年多くの人がA型インフルエンザウイルスに感染していますが、年ごとで症状に変化はあまりありません。A型インフルエンザウイルスは144種類もの型(亜型)に分けられ、さらにその中で年ごとに小さな変異を起こしています。一般的に人は1度ウイルスに感染すると、そのウイルスに強くなって感染しにくくなります。しかし、A型インフルエンザウイルスは1度感染してもその小さな変異が起こるため、人間の防御力(免疫反応)が追い付くことができないために、毎年のように流行を繰り返します。しかし、変異は小さなものなので、基本的には年ごとに症状が変化するということはありません。

インフルエンザA型とB型での重症度の違いはほとんどないとされています。A型だから症状が重い、軽いということはなく、基本的にはどちらの型も高熱、頭痛筋肉痛・関節痛、咳、喉の痛み、鼻水などの症状が現れ、ほとんどの場合1週間程度で回復します。また、インフルエンザではまれに合併症が生じ重症化することがありますが、A型、B型のどちらにも合併症が起こる可能性があります。

インフルエンザに伴う合併症には、インフルエンザ脳症肺炎などがあります。全体的にみると発症する頻度は低いですが、特に乳幼児や高齢者に発症することが多く、場合によっては後遺症が残ったり命に関わったりすることもあるため注意が必要です。

インフルエンザ脳症では異常言動、意識障害、けいれん、肺炎では強い咳や胸の痛み、息苦しさなどの症状が現れます。処置が遅れると危険な状態になることもあるので、インフルエンザの典型的な症状以外に何らかの異常がみられた場合には早めに病院を受診することがすすめられます。

A型もB型も現れる症状にさほど違いはなく、重症度においても違いがほとんどないことから、症状をみてA型かB型かを判断することは困難です。インフルエンザの発症の有無だけでなく、型を知るためにも病院で検査を受ける必要があります。

一般的に行われているインフルエンザ検査は、迅速診断キットを使います。長い綿棒を鼻の奥に入れて鼻や喉の粘液を採取し、採取した粘液をキットに滴下するとライン(線)が浮かび上がります。このラインから陽性か陰性か、陽性の場合にはA型かB型かを知ることができます。

インフルエンザの症状はA型でもB型でも違いはほとんどありません。そのため、症状から自分で型を判断することは困難です。

なお、インフルエンザ発症後12時間以内は体内で十分にウイルスが増えていないために、検査で正しい結果が出ない場合があります。また、インフルエンザの治療薬は発症から48時間以内に使用しないと十分な効果を得ることができません。

したがって、インフルエンザと思われる症状が出た翌日を目安に病院を受診するのがよいでしょう。陽性であった場合、医師の指示にしたがって治療を行うようにしましょう。

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