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インフルエンザ検査のタイミング――いつ病院に行くのが適切か

インフルエンザ検査のタイミング――いつ病院に行くのが適切か
井上 陽介 先生

湯沢町保健医療センター 地域家庭診療部 病院管理者

井上 陽介 先生

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インフルエンザは例年12月頃に流行し始め、1月末~3月上旬に流行のピークを迎えます。特にこの時期に発熱や頭痛、体のだるさ、関節痛、筋肉痛などの症状が現れた場合には、インフルエンザの可能性を考慮して病院を受診しようと考えるものですが、検査を受けるタイミングは、早すぎても遅すぎてもよくないとされています。では、いつ検査を受けるのが適切なのでしょうか。また、インフルエンザ検査はどのような方法で行われ、結果が出るまでの時間や検査費用はどのくらいかかるのでしょうか。

インフルエンザで病院を受診するタイミングは、発熱などの症状が現れてから12時間以上経過した頃が適切だといわれています。

人に感染するインフルエンザウイルスにはA型とB型がありますが、いずれにおいても感染してすぐの頃は体内にいるウイルス数が少ないため、検査でウイルスを検出できない場合があるためです。時間が経つにつれてウイルスの数が増えていき、発症してから約12時間経過した頃に検査を行うとウイルスを検出できる確率が十分に高まるので、発熱などの症状が現れて12時間以上経過してから病院を受診することが推奨されています。

しかし、インフルエンザの治療薬の効果が十分に期待できるのは発症から48時間以内です。病院への受診が遅れると、検査をする意味も治療薬の効果も薄れてしまうので、遅くなりすぎないようにすることも大切です。

インフルエンザには様々な検査方法がありますが、一般的に行われているのが迅速診断キットを用いた検査です。この検査では長い綿棒を鼻の中に入れ、綿棒で鼻や喉の粘液をぬぐいます。そして、その粘液を専用のキットに滴下し、キットに現れるマーカー(線)の有無を目視で確認して、陽性か陰性か、A型かB型かを判定します。

陽性であればインフルエンザにかかっていることを示し、陰性であればインフルエンザにかかっていないことを示しますが、インフルエンザを発症していても陰性の判定になる場合もあります。

検査では綿棒を鼻の奥まで入れるので、不快な痛みを感じることがあります。そのため、特に小さな子供は嫌がって検査がスムーズにできない場合がありますが、綿棒を使用せず、鼻水を用いて検査を行うことが可能な場合も多くあります。

鼻水を用いた検査方法では、専用の鼻かみ用紙で鼻をかむだけなので、痛みを伴うことはありません。痛みに対する恐怖心から綿棒を用いた検査が難しい場合、その旨を医師に伝えてみるとよいでしょう。

一般的なインフルエンザ検査では、通常15分以内に結果が判明します。ただし、インフルエンザの検査と同時に、合併症が起きていないかを調べることがあります。

インフルエンザは、肺炎や脳炎などの合併症が起こることがあり、肺炎では咳や痰が続く、呼吸が荒くなる、胸の痛みなど、脳症では異常言動、意識障害(ぼーっとして呼びかけに反応しないなど)、けいれんなどの症状が起こります。こういった症状がある場合、肺炎であれば胸部レントゲン検査、脳症であれば頭部CT検査などが行われます。

一般的なインフルエンザ検査にかかる費用は、診察料に薬代も含めて4,000~5,000円程度(3割負担の場合)になることが多いでしょう。

診察料は診療報酬点数(医療行為を点数化したもの)をもとに計算され、インフルエンザ検査においては主に以下が算定されます(2019年時点)。

  • インフルエンザウイルス抗原定性……143点
  • 免疫学的検査判断料……144点
  • 初診料(初診の場合)……282点

病院や受診状況などに応じて加算される場合もありますが、診察料は2,000円前後になることが一般的です。薬の金額は種類や量などによって変わってきますが、多くの場合2,000~3,000円程度になるでしょう。

診断書が必要な場合には別途、診断書の発行費用がかかってきます。診断書の発行費用は健康保険が適応されず、全額自費です。医療機関によって費用は異なりますが、大体の相場は3,000~5,000円程度とされています。

インフルエンザの治療は主に内服薬によるもので、適切に薬を使用することで、つらい症状の発現期間を、通常1日程度短縮することができます。症状のつらさなどがあり、少しでも期間を短縮したい場合には、インフルエンザと思われる症状が現れた翌日を目安に病院を受診するのがよいでしょう。

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