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インフルエンザウイルスの種類と特徴

インフルエンザウイルスの種類と特徴
メディカルノート編集部 [医師監修]

メディカルノート編集部 [医師監修]

この記事の最終更新は2018年02月20日です。

インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3種類に分けられます。

このうち特にA型とB型が、毎年冬季に流行をもたらす季節性インフルエンザの原因となります。

A型インフルエンザウイルスの表面には、「赤血球凝集素(ヘマグルチニン:HA)」と「ノイラミニダーゼ(ノイラミニダーゼ:NA)」という特徴的なタンパク質があります。

A型インフルエンザウイルスは、HAとNAの組み合わせによって、さらに細かく分類されます。 

インフルエンザウイルスの表面にあるタンパク質のHAには、1番から16番までのサブタイプ(種類)があります。またNAにも、1番から9番までのサブタイプがあります。

(参照:国立感染症研究所 感染症情報センター インフルエンザ総説)

ヒトの間で流行するA型インフルエンザウイルスは、主に「H1N1」と「H3N2」の2種類です(2018年2月時点)。

ヒトに流行するB型インフルエンザウイルスは、「Yamagata(山形系統)」と「Victoria(ビクトリア系統)」の2種類に大別されます。

インフルエンザの流行を引き起こすことが多いウイルスの型は、以下の4つです。

(これ以外の型が流行することもあります。)

  • A型インフルエンザ H1N1
  • A型インフルエンザ H3N2
  • B型インフルエンザ Yamagata
  • B型インフルエンザ Victoria

このような情報をもとに、インフルエンザワクチンに含めるウイルスのサブタイプが選択されます。

インフルエンザウイルスの変異の仕方には、大きく(1)連続変異、(2)不連続変異の2つがあります。このうち、少しずつ変異が蓄積する連続変異は、A型、B型のいずれにも生じます。

一方、不連続変異はA型にのみにみられます。インフルエンザの世界的な大流行は、A型インフルエンザウイルスの不連続変異により起こります。

インフルエンザの表面にあるHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)は、同じH1N1やH3N2といったサブタイプのなかで、毎年のように少しずつ抗原性を変化させています。抗原性とは、抗体を認識して結合する性質のことです。微妙な抗原性の変化を「連続変異」と呼びます。

インフルエンザウイルスの遺伝子は変異しやすいため、毎年のように連続変異が生じています。

インフルエンザウイルスは、まれに抗原性が全く異なるHA/NAへと変化を遂げることがあります。この変化のことを「不連続変異」と呼びます。

不連続変異により生じたインフルエンザウイルスは、人類がこれまでに経験したことがない抗原性を持っています。人体のなかには、未経験のウイルスの抗原に対抗する抗体が存在しないため、世界的な大流行が引き起こされる危険性があります。

実際に過去の歴史のなかでは、不連続変異のA型インフルエンザウイルスによる大流行が幾度か観察されています。

A型インフルエンザウイルスの不連続変異による直近の大流行は、2009年にはじまった新型インフルエンザ「H1N1」のパンデミックです。

H1N1は、ブタに感染性のあるインフルエンザウイルスと、ヒトに感染性のあるインフルエンザウイルスとの間で遺伝子の置き換えが起こり、生じました。

結果、私たち人間は当時経験したことのないタイプのインフルエンザウイルスにさらされることになったのです。2010年に流行が収束するまでの間に、全世界では新型インフルエンザによって多数の死者が出ました。

A型インフルエンザウイルスは、動物の種を超えて感染する可能性があります。そのため、不連続変異によるヒトの間での大流行は、A型だけにみられます。

たとえば、鳥に対して感染するH5N1(鳥インフルエンザウイルス)など、いくつかのインフルエンザウイルスがヒトと動物の双方で流行しています。他の動物の間で流行するインフルエンザウイルスが将来ヒトにも感染するようになる可能性もあるため、今後の動向が注視されています。

インフルエンザウイルスは非常に小さく、その大きさは0.1μm(マイクロメートル)ほどです。

一般的なマスクの穴は5μm程度あるため、インフルエンザウイルス自体は通常のマスクの穴をすり抜けられる大きさといえます。

インフルエンザウイルスは飛沫により感染します。そのため、実際には病原体は唾液などと混ざり、もう少し大きな粒子(最大100μmほど)となって周囲へばらまかれます。すべての粒子をマスクがキャッチできるわけではありませんが、マスクをつけることでウイルスを含む粒子が体内に入る量をある程度減らせるのではないかと期待できます。

マスクは自分自身がウイルスにさらされる機会を減らす手段といえます。

インフルエンザウイルスは体内に侵入した後、まず感染細胞内で増殖します。一定量まで増殖すると、インフルエンザウイルスは感染細胞から排出され、これにより周囲の未感染細胞へと感染が拡大します。この過程で免疫系細胞がはたらき、感染は収束へと向かいます。

体内のウイルス量は、感染から1日半ほどでピークに達します。     

その後、6日ほどでウイルス放出は徐々に収束すると考えられています。

ウイルスが体内に入ってから体外に排出されるまでの期間や動向は、ウイルスのタイプやさらされる量、感染者の免疫状態、基礎疾患の有無などによって変わります。

したがって、仮に家族で同じインフルエンザウイルスに感染したとしても、体内での動向はそれぞれ異なります。

インフルエンザウイルスは、まれに不連続変異を起こし、世界的な大流行を引き起こすことがあります。こうした大流行が次にいつ起きるのか、予測することは困難です。

もしもの事態に備えて、日頃から手洗い・うがいなどを習慣化するのがよいでしょう。

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