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インフルエンザにかかりにくい体づくりによい食べ物や飲み物とは

インフルエンザにかかりにくい体づくりによい食べ物や飲み物とは
横田 修一 先生

揖斐郡北西部地域医療センター(久瀬診療所・介護老人保健施設 山びこの郷) センター長・老健施設長

横田 修一 先生

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秋から冬にかけての季節は全国的にインフルエンザが流行します。つらい症状を引き起こすインフルエンザを予防するためには、ウイルスを体に取り込ませないよう手洗いや手指の消毒、マスクの着用など基本的な感染対策を徹底することが大切です。ほかにもさまざまな対策法があり、なかには食生活に注意しているという方もいます。

本記事では、一般的にインフルエンザを予防するためによいとされる食べ物や飲み物について詳しく解説します。

インフルエンザの予防によいとされる食べ物や飲み物は、あくまでも“インフルエンザウイルスに感染しにくい体をつくる”食べ物や飲み物です。これらを積極的に口にしたからといってインフルエンザを完全に予防することはできないので注意しましょう。

次の栄養素が多く含まれる食べ物がインフルエンザ予防によいとされています。

インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって発症します。

感染が生じるのは鼻や喉の粘膜です。通常、鼻や喉の粘膜には体内に入り込んだウイルスなどの異物をキャッチして体外へ押し出す“線毛”と呼ばれる細い毛のような構造物が密生しています。この線毛のはたらきが悪くなると異物を押し出す力が弱まるため、インフルエンザにかかりやすくなります。

ビタミンAには粘膜を健康的に維持するはたらきがあるため、インフルエンザの予防によいと考えられています。

ビタミンAを多く含む食べ物

緑黄色野菜、卵、レバー、乳製品、ウナギ、タラ、海苔

近年、ビタミンCにはインフルエンザウイルスの増殖を抑えるインターフェロンという物質の産生を促す効果があることが分かってきました。このため、ビタミンCには万が一体内にインフルエンザウイルスが侵入したとしても、増殖を食い止めて強い症状が現れるのを防ぐ効果が期待されます。

また、ビタミンCには免疫力を下げる作用のある活性酸素を抑えるはたらきもあるため、その点からもインフルエンザの予防につながるといえるでしょう。

ビタミンCを多く含む食べ物

ブロッコリー、パセリ、パプリカ、レモン、キウイ、ジャガイモ、サツマイモ

ビタミンEの主なはたらきは血管を丈夫に保って血行をよくすることです。インフルエンザウイルスが感染する喉や鼻の粘膜の血行がよくなると、粘膜が健康的な状態に維持されやすくなるため、線毛のはたらきが盛んになって感染を予防する力が強くなります。

また、ビタミンCと同じく活性酸素を抑えるはたらきもあるとされています。

ビタミンEを多く含む食べ物

魚介類、かぼちゃ、モロヘイヤ、ピーナッツ、アーモンド

ビタミンDには免疫機能を高めるはたらきがあるため、インフルエンザなどの感染症の予防によいと考えられています。

近年行われた研究で、インフルエンザの流行時期にビタミンDのサプリメントを摂取した子どもとしていない子どもでは、摂取していた子どものほうが明らかにインフルエンザにかかりにくくなったとの報告がされています。

ビタミンDを多く含む食べ物

乳製品、サケ、しらす、卵、キノコ、レバー、シリアル

次の飲み物がインフルエンザ予防によいとされています。

紅茶に含まれるテアフラビンと呼ばれる成分には、インフルエンザウイルスの感染力を著しく低下させるはたらきを持つことがさまざまな実験によって明らかになっています。

紅茶には殺菌作用のあるカテキンも含まれていますが、インフルエンザウイルスの感染力を失わせるのはテアフラビンのほうが高く、同じくカテキンを多く含む緑茶やウーロン茶などよりも感染予防効果が高いとされています。

はちみつには殺菌作用があるだけでなく、喉の粘膜に潤いを与えて線毛のはたらきを正常に促す作用があります。このため、インフルエンザの予防によいとされています。

はちみつをそのまま口にしても問題ありませんが、お湯にはちみつとレモン汁を加えて”はちみつレモン”にして飲むと、喉にさらなる潤いを与えてインフルエンザの予防によいビタミンCも同時に摂取できます。

近年、乳酸菌には免疫力を高める効果があることが分かってきました。このため、インフルエンザ対策としてヨーグルトなどの乳酸菌を多く含む食べ物を積極的に摂る人も増えています。

ヒトの免疫を司る細胞の6~7割は腸の中に存在するため、確かに乳酸菌を摂取して腸内環境を整えることは大切です。しかし、乳酸菌を摂取することによって腸内環境を整えることがインフルエンザの予防につながることは科学的に証明されているわけではありません。

インフルエンザを予防するには上で述べたような食べ物や飲み物を摂り、ウイルスに感染しにくい体をつくることが大切です。

しかし、“体づくり”だけではインフルエンザを予防することはできません。“体づくり”はあくまでもインフルエンザ予防の補助的な役割を果たすにすぎないでしょう。

より効果的な予防を行うには、ウイルスを体に取り込ませないよう手洗いや手指の消毒、マスクの着用など基本的な感染対策を徹底することが大切です。

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