インタビュー

インフルエンザワクチンを打つべき人とは

インフルエンザワクチンを打つべき人とは
岩田 健太郎 先生

神戸大学大学院医学研究科 感染治療学分野 教授

岩田 健太郎 先生

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この記事の最終更新は2015年03月27日です。

インフルエンザの流行時期には、ワクチンを打つべきかどうか、迷う方も多いのではないでしょうか。一体どんなワクチンなのか、打つべき人はどのような人なのか、インフルエンザワクチンの基本について、神戸大学感染治療学教授である岩田健太郎先生にお答えいただきました。

インフルエンザワクチンの予防接種とは、一般的には不活化ワクチンの皮下注射または筋肉注射です。抗体獲得(効果が出る)までに約2週間かかり、効果は約5か月継続するとされています。秋口くらいに打つのがよく、次の年はもう一度打つ必要があります。打ったからといってインフルエンザに絶対ならないわけではありませんが、ワクチンを打つことで相対的にリスクを減らすことができます。副作用はほとんどなく、もっとも安全なワクチンの1つであるといえます。

ワクチンについて考えるときは、相対的にリスクを減らせているかという点で考えましょう。シートベルトをしていても交通事故で亡くなることはありますし、警備会社と契約していても泥棒に入られることはあります。同様に、インフルエンザワクチンを打っていてもインフルエンザになることはあります。それでも相対的にリスクを減らせていれば、それは有効であると考えられるでしょう。

妊婦さんはインフルエンザになると重症化しやすいことが分かっています。このため妊婦さんはインフルエンザワクチンを予防接種すべきだといえます。

副作用を心配される方も多いのですが、妊婦さんであっても、インフルエンザワクチンのような不活化ワクチンは打っても問題はありません。ここでも大切なのは「インフルエンザワクチンのリスク(副作用が起こるリスク)」と「インフルエンザにかかってしまうリスク」を相対化すること、2つのリスクを客観的に比較することです。

妊婦さんにとっては、高い熱が出て流産早産をしてしまうのも困ります。基本的に妊婦さんは病気をしないほうがいいのです。さらに日本の医療の現状では、妊婦さんは感染症が重症化した場合、感染症病棟でも産婦人科病棟でも、入院の受け入れが難しいという問題も抱えています。

妊婦さんは感染症にならないために最大限の努力をしましょう。インフルエンザワクチンは妊娠した後に打てばよいのですが、風疹(ふうしん)などの生ワクチンは全て妊娠する前に打っておくほうがよいでしょう。また、妊婦さんだけでなくパートナーも風疹などにかからないようにワクチンを打つことは大切であり、たしなみともいえます。

また、ここでは妊婦さんを取り上げましたが、高齢者、慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)COPD)、気管支喘息、免疫不全などを抱えていて重症化リスクの高い人は、インフルエンザワクチンを打っておくようにしましょう。

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