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インフルエンザの基礎知識
毎年たくさんの人がかかるインフルエンザ。ポピュラーな病気なわりには、きちんと知らないことも多いのではないのではないでしょうか。今回は、インフルエンザの型とはなにか、感染経路、潜伏期間、症状など、...
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インフルエンザの基礎知識

公開日 2015 年 06 月 09 日 | 更新日 2018 年 02 月 01 日

インフルエンザの基礎知識
岩田 健太郎 先生

神戸大学大学院医学研究科 感染治療学分野 教授

岩田 健太郎 先生

毎年たくさんの人がかかるインフルエンザ。ポピュラーな病気なわりには、きちんと知らないことも多いのではないのではないでしょうか。今回は、インフルエンザの型とはなにか、感染経路、潜伏期間、症状など、基本的なことを、神戸大学感染治療学教授の岩田健太郎先生にお聞きしました。

ABCの3種類あるインフルエンザウイルスの型

ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスがあります。インフルエンザウイルスはRNAウイルスです。インフルエンザウイルスは、人間にも、トリ、ウマ、ブタなど様々な動物にも感染します。型としてはABCの三種類があります。C型は人間には感染しても問題ないので、一般的には無視することができます。人間を対象とするインフルエンザとしてはA型とB型があります。

まず、A型はH3N2、H1N1など非常に多くの種類があります。これは、「アンチジェニックシフト」という遺伝子の大きな変化により引き起こされます。15種類のヘマグルチニン(HA)、9種類のノイラミニダーゼ(NA)という二つの表面抗原の多様な組み合わせの数により、たくさんのウイルスの種類があります。一方で、B型は表面抗原の種類が単一です。そのため、大きな世界的流行(パンデミック)を起こす可能性は低いと言われています。

どちらかと言えばB型の方が軽症であるとは言われていますが、それでもオーバーラップがあって、一定数の割合でB型でも重症化することはあります。やはり、より深刻な問題があるのはA型の方です。予防接種のインフルエンザワクチンにもA型が2種類、B型が2種類入っています。

インフルエンザの感染経路は?潜伏期間は?

感染経路は飛沫感染です。咳やくしゃみから感染します。物とか手にウイルスがついて、そこから感染することもあります。潜伏期間(ウイルスに感染してから発症するまでの期間)は1〜4日くらいで、平均すると2日くらいの潜伏期間になります。(もちろん、この間に発症することも、発症しないこともあります)

インフルエンザの流行時期は?

秋・冬が流行時期になります。そのため、インフルエンザワクチンは秋口に打っておくことが大切です。

インフルエンザの感染部位と症状

典型的には上気道症状と全身症状です。上気道粘膜に主に感染して、潜伏期間に続いて上気道症状(鼻閉・鼻汁・咽頭痛)が出現します。また、気管支炎や肺炎になると下気道症状(咳・痰)が出ることもあります。咳は上気道症状としても出ることがあります。また、全身症状としては突然の38-40℃の高熱、筋肉痛、関節痛、寒気などがあります。

インフルエンザで消化器症状は?

典型的には、インフルエンザにおいて嘔吐や腹痛、下痢などの消化器症状はありません。タミフルの副作用で下痢になることがあるので、それをインフルエンザの症状と勘違いしてしまっている可能性はあります。

インフルエンザの初期症状は?

よく、インフルエンザの初期症状という聞かれ方をします。しかし、インフルエンザには結局初期症状も晩期症状もあまりありません。というのも、インフルエンザは発症からの急峻な症状の出方(Acute Onset)が特徴だからです。数時間単位の非常に短い期間で急激に発症し、寒気や喉が痛いなどの症状が出ます。3週間前からインフルエンザというようなことは考えにくいのです。

全く熱が出ないインフルエンザは?

最近の疫学研究では、インフルエンザウイルスに感染しても、熱も、ほかの症状も全く出ないことがあることがわかってきました。また、夏かぜや鼻かぜに対しても、検査をしてみると、実はインフルエンザウイルスがいることがあるということも分かってきました。

これは、インフルエンザウイルスの検査が普及したからこそ分かってきた事実です。しかし、実際のところ無症状の人に対してインフルエンザウイルスの検査をすることは意味がありませんし、その人に対してインフルエンザと診断することもできません。インフルエンザという「コト」こそが大切であり、インフルエンザウイルスという「モノ」には意味がありません。元々、インフルエンザは現象を指していて、あとからウイルスがくっついてきたのです。そのため、症状も何もない状態をインフルエンザということには意味がありません。

熱はどれくらいで下がる?下がらないときは?

熱は数日、それも3〜4日で下がることが多いです。2週間、3週間にわたってなかなか治らないということはあまりないのです。「なかなか治らない」という場合は、「あまりインフルエンザっぽくない」という印象を受けます。

インフルエンザが治らない場合は、肺炎など他の疾患が絡んでいたり、合併症を引き起こしたりしている可能性も考えなければなりません。あらためて医療機関の受診を検討しましょう。

インフルエンザの合併症は?

インフルエンザにおいて注意すべき合併症は肺炎と脳症です。肺炎のリスクとなるのは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの呼吸器疾患です。基礎疾患として、これらの呼吸器疾患がある方はインフルエンザワクチンを打っておいた方が良く、インフルエンザにかかってしまった時には、抗インフルエンザ薬を内服した方が良いでしょう。

一方で、脳症のリスクとなるのはジクロフェナク、メフェナム酸などのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を内服している方です。ボルタレン®やバファリン®などがNSAIDsにあたります。また、特徴的なのはReye症候群と言われるもので、子どもがインフルエンザや水痘などのウイルス感染にかかった後、急性脳症と脂肪肝を引き起こし、死に至ることがあります。これもNSAIDs(非ステロイド性抗鎮痛薬)の内服が明確なリスクとなっています。

インフルエンザの予後は?

インフルエンザはすっきり治るので、後遺症はほとんど残らない、あとに引きずらない病気です。圧倒的大多数の方は自然に治ってしまうため、割合で考えると死亡率は非常に低いのです。しかし罹患者数があまりに多いので、単純な死亡者数はとても多くなってしまいます(2009年のパンデミックインフルエンザでは200人が亡くなりました)。だからこそ、ワクチンを打つ意味があるのです。

記事1:インフルエンザとはどんな病気?―インフルエンザウイルスの有無を議論することには意味がない
記事2:インフルエンザワクチンの効果と副作用
記事3:お風呂に入っても大丈夫?―インフルエンザワクチンを打った後に気になる3つの疑問
記事4:インフルエンザワクチンを打つべき人とは
記事5:インフルエンザの予防接種ーいつどんな病院で受ける?
記事6:インフルエンザの治療―抗インフルエンザ薬は症状改善を1日早める
記事7:インフルエンザ-タミフル®の予防投与についての考え方
記事8:インフルエンザの検査とは 検査なしでも診断書はもらえる
記事9:インフルエンザの予防について
記事10:インターネット上の医療情報についての考え方―医療における「正しさ」は難しい
記事11:高病原性鳥インフルエンザ:H5N1型について
記事12:インフルエンザの基礎知識
記事13:インフルエンザの治療法 安静と睡眠が治療に大切
記事14:インフルエンザの治療―4つの抗インフルエンザ薬に対する考え方
記事15:インフルエンザの治療-漢方薬について

日本の感染症診療の第一人者およびオピニオンリーダー。医学だけでなく哲学から社会科学まで幅広い分野において造詣が深く、多くの著作で知られる。臨床医としては「臨床とは常に正解があるものではなく、ケースバイケースでありさまざまな選択肢を持ちながら一人一人それぞれにあった治療を考える」姿勢で、科学者としては「常にフェアな立場でさまざまな事象をみる」姿勢で医学と向き合い続けている。

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