インフルエンザなどの病気で体調が悪いとき、「安静に過ごす」と言われることがよくあります。しかし、実際どのように過ごせばよいのか迷う場面も多いのではないのでしょうか。何を食べたり飲んだりしたらよいのか、解熱剤はいつ使えばいいのかなど、インフルエンザのときに困りがちなポイントについてお伝えします。
インフルエンザなどの急性の病気では、体が病気と戦うことに多くのエネルギーを費やしている状態です。そのため、胃腸に負担をかけすぎるような食事は避けた方がよいとされています。また、インフルエンザではときに下痢などの消化器系の症状が出ることがあるため、そのような場合は特に食事に気を配る必要があります。
一般的に、下痢があるときは、出ている便の柔らかさと同じような食事がよいとされています。水のような便であれば水分のみ、泥状の便ならヨーグルトやおかゆ、といった選び方です。その際、脂っこいものやアルコール、刺激物などは避けておいた方がよいでしょう。
また、病気のときの食事はおかゆ・うどんなど、どうしても炭水化物に偏りがちですが、タンパク質もある程度とる必要があります。タンパク質は豆腐、半熟卵などが消化しやすいためよいといわれています。
インフルエンザはノロウイルスなどと違い、嘔吐や下痢といった症状はあまり一般的ではありません。そのため、ノロウイルスなどと比較すると飲み物の質にこだわる必要性はあまりありません。しかし、熱のために汗をかいて水分と塩分を失っているため、水分量はしっかりと摂る必要があります。色の薄い尿がしっかりと出ており、肌に張りがあり、唇や口の中などの粘膜が十分潤っていれば水分が足りていると判断できます。
また、電解質は汗などとともに失われるため、大量に汗をかいている・嘔吐や下痢があるなどの場合には、スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く糖分が少ない経口補水液の方が適しているといえます。
そのほか、病気で体調が悪いときには、好みのものでなければあまり飲むことができないこともあるでしょう。そのため、ミネラルウォーターやジュースなどについても、飲んではいけないというわけではありません。もっともよくないことは「水分が摂れないこと」であり、何を飲めばよいかはその次に考えましょう。
インフルエンザのときには入浴をしてはいけない、という医学的な理由はありません。ただし、体力の消耗が激しいときや、40℃を超えるような熱があるときには無理をせず安静を優先した方がよいでしょう。
もし入浴する場合でも、熱すぎずぬるすぎない適度な温度での短時間の入浴にとどめ、湯冷めしないよう気を配りましょう。
一般的にインフルエンザでは、高熱やだるさ、関節の痛みなどの症状が生じます。そのため、起きて活動することは難しいことが多いでしょう。しかし、インフルエンザの症状がピークを迎える前やピークを過ぎたあと、予防接種を受けていた人などでは症状が比較的軽いこともあります。その場合には、横になっていても眠れなかったり、起きて活動したいと考えたりすることもあるかもしれません。
しかし、自覚症状としては余力がある・出てきたように感じられても、体はウイルスと戦うために消耗しています。横になれるのであれば、眠れなくても可能な限り体を休めたほうがよいでしょう。
熱があるときには頭を冷やした経験のある方も多いと思います。しかし、実際は頭を冷やすだけでは体温を下げる効果はあまりありません。あくまで「ひんやりして気持ちいい」と感じ、過ごしやすくする程度のものと捉えるのがよいでしょう。特に熱が高い間は寝苦しく、休息が取りづらいため、冷やすことで快適になり眠りやすくなるようであれば積極的に使うとよいでしょう。
実際に体温を下げるためには、首の横や鼠径(足の付け根)、脇の下などの太い血管が走っている部分を強力に冷やさなくてはなりません。しかし、家庭では実際に体温を下げるまで冷やすことは難しく、また熱を下げようとむやみに冷やし過ぎると皮膚や血行に影響が出ることもあります。どうしても熱そのものを下げたい場合には、処方された解熱剤などの使用を検討するとよいでしょう。
大人の場合であれば、医師の指示通りの間隔や量を守る必要はありますが、つらいと思ったときに使用してもよいでしょう。
発熱は体内で免疫反応が起こり、ウイルスを排除しようとする仕組みを反映しています。そのため、体の中のウイルスが減らない限り、解熱剤を使用しても効果が切れればまた熱が出てしまいます。
また、熱が高くなると脳に影響が出るのでは、と心配になることもあるかもしれません。しかし、脳への影響は42℃を超えるような発熱の場合を除き考えにくく、一般的には合併症のないインフルエンザで42℃を超えることは考えにくいとされています。そのため、目安として40℃を超える熱でなければ解熱剤を使わないことも選択肢の一つです。
インフルエンザは基本的に良性の病気で、特別治療薬を使用しなくても5日~1週間程度で自然に治癒すると考えられています。それでも発熱が続く場合や、ピーク時の強い症状が続く場合にはもう一度受診した方がよいでしょう。
また、5日未満であっても、呼吸困難感が強い場合や、意識がもうろうとしている、けいれんがある、異常な言動があるような場合にも受診が必要です。
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