一般的に“いぼ”と呼ばれているものの中には、“みずいぼ”と呼ばれる伝染性軟属腫や、脂漏性角化症などさまざまな種類があります。もっとも一般的な“いぼ”は肌色~褐色のできものである“尋常性疣贅”で、特に子どもの手足などにできることが多いとされています。
尋常性疣贅の原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染と考えられていますが、発症した場合、人にうつることはあるのでしょうか。本記事では尋常性疣贅がうつるのかどうかや、予防と対策などについて詳しく解説します。
一般に“いぼ”と呼ばれるものは、ウイルス性疣贅、伝染性軟属腫(みずいぼ)、脂漏性角化症、軟性線維腫の4つに大きく分けることができ、尋常性疣贅はウイルスが皮膚の細胞に感染することで引き起こされるウイルス性疣贅に分類されます。ウイルス性疣贅には、尋常性疣贅のほかに特殊型として扁平疣贅、尖圭コンジローマなどがあります。
尋常性疣贅は子どもの指や手足にできることが多いとされる肌色~褐色のいぼ(できもの)で、原因はHPVの感染だと考えられています。尋常性疣贅はうつる可能性があるため、注意が必要です。みずいぼも同様にプールなどで子どもにうつります。
一方で、脂漏性角化症、軟性線維腫などは見た目が尋常性疣贅に似ているものの、紫外線や加齢などが原因でウイルス性ではないため、うつることはありません。
尋常性疣贅は、HPVが感染してできるものであるため、人にうつる可能性もゼロではありません。しかし、皮膚は細胞が何層にも重なった構造になっており、免疫のはたらきなどとともにウイルスや細菌の感染を防いでいるため、正常な皮膚にはHPVは感染しないと考えられています。その一方で、手足の荒れやささくれなどの小さな傷ができることで感染したり、免疫力が低下することでいぼが悪化したり、治りにくくなったりすることがあるとされています。
また、尋常性疣贅は間接的接触によってうつることもあります。たとえば、銭湯や温泉施設、プール、ジムなどの利用によってHPVに感染し、尋常性疣贅を発症するケースも確認されています。
HPVは手足の荒れやささくれなどによる傷から感染することもあるため、日頃から保湿などのスキンケアを行うとよいと考えられます。また、特にアトピー性皮膚炎患者の場合、かきむしってできた傷や免疫力の低下が重なり、尋常性疣贅につながることがあります。そのため、医師の指導の下、アトピー性皮膚炎の治療と尋常性疣贅やそのほかの皮膚疾患の予防を行うとよいでしょう。
さらに、免疫力の低下も原因となることがあるため、ストレスを減らす、良質な睡眠をとる、バランスのよい食生活を心がけるなどして免疫力低下を防ぐ必要もあります。良質な睡眠のためには、枕や布団などを自分に合ったものに変えるとよいでしょう。また、適度な運動は良質な睡眠につながるだけでなく、ストレス解消にもよいと考えられています。
そのほか、皮膚のほかの部分に症状が広がる可能性もあるため、尋常性疣贅を触った後の手でほかの部分に触れないように注意しましょう。
尋常性疣贅は人にうつる可能性もあるため、症状が現れた場合は早めに皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。皮膚科での治療には、液体窒素凍結療法や電気メス、外用療法、内服療法、レーザー治療などさまざまな選択肢があり、いぼの状態や部位によって適したものを選択します。また、治療に関することや、人にうつさないための対策などで気になることがあれば医師に相談しましょう。
さいたま赤十字病院 皮膚科 部長
三石 剛 先生の所属医療機関
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