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尋常性疣贅の原因となるHPVとは ~感染のメカニズムは?予防には皮膚のケアや生活習慣が重要~

尋常性疣贅の原因となるHPVとは ~感染のメカニズムは?予防には皮膚のケアや生活習慣が重要~

東京女子医科大学 八千代医療センター

三石 剛 先生

目次
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尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)とは、俗にいう“いぼ”です。

しかし一口にいぼといっても実際には、みずいぼ、年寄りいぼなどさまざまな種類があり、尋常性疣贅はその中でもウイルス性のいぼの1つです。尋常性疣贅は子どもの手足などにできる肌色~褐色のできもので、原因はウイルス感染といわれています。

本記事では、尋常性疣贅の原因や発生の仕方などについて詳しく解説します。

尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚に感染して生じる良性腫瘍(しゅよう)を指します。HPVには200種類以上の型が存在し、子宮頸(しきゅうけい)がんや性感染症である尖圭(せんけい)コンジローマの原因となる型もありますが、尋常性疣贅を引き起こすHPVは2型や27型、57型と考えられています。

また、同じ型のHPVが引き起こした尋常性疣贅でも発症部位やいぼの形状によって病名が異なります。尋常性疣贅は典型例と非典型例に分類され、典型例は表面にガサつきのある硬い小結節であるのに対し、非典型例には足の裏にできる足底疣贅(そくていゆうぜい)や、足底疣贅の1つ1つが合わさって敷石のようになるモザイク疣贅、爪の周りに生じる難治性の爪囲疣贅(そういゆうぜい)などさまざまな種類があります。

尋常性疣贅は傷ができたり引っかいたりすることが多い手足や、外陰部、肘や膝の裏にできやすい病変です。

皮膚は外側から順に表皮、真皮、皮下組織の3つの層からできており、表皮は外側から角質層、顆粒(かりゅう)層、有棘(ゆうきょく)層、基底層と細胞が何層にも重なっています。このような皮膚の構造と免疫のはたらきなどによって、ウイルスや細菌の感染を防いでいます。

画像提供:PIXTA
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そのため、HPVは正常な皮膚には感染しないと考えられています。感染するときは小さな傷などからウイルスが入り込み、基底層にある基底細胞の中でも幹細胞の核に感染して潜伏感染*をきたし、その後、溶解感染**となりいぼが発生すると考えられています。

ウイルスが感染した基底細胞は細胞分裂が活発化し、有棘層から角質へと表皮表面で脱落するまでの間にウイルスDNAが複製され、表皮上層ではウイルス粒子をつくっていきます。感染した表皮の細胞は形が変わり、やがて塊となったものがいぼです。

*潜伏感染:体内にウイルスが存在しているが症状はない状態

**溶解感染:ウイルスの増殖によって細胞を破壊する感染形態

前述のとおり、HPVは正常な皮膚には感染しないと考えられています。そのため、手足など傷や肌荒れが生じやすい部位のケアが大切です。ウイルスはささくれや手荒れの傷などから侵入することもあるため、保湿などのスキンケアを行うとよいでしょう。

またアトピー性皮膚炎の場合、特に子どもでは肘や膝の裏などをかいてしまうことがあるため、かかないように気をつけるほか、医師の指導の下、アトピー性皮膚炎自体の治療も積極的に行うとよいでしょう。

免疫力を低下させないことも大切です。免疫力の低下を防ぐためには、ストレス解消や十分な睡眠、栄養のある食事を取ることなどが重要と考えられています。

特にストレスがある状態で糖質やたんぱく質が不足すると、免疫力低下につながるとされているため注意が必要です。さらに、快眠のためには自分に合った枕や掛け布団、適度な硬さの敷き布団などを選ぶとよいでしょう。

尋常性疣贅に対する予防ワクチンは現段階では存在しません。一般的に行われているHPVワクチン接種はHPV16型と18型に対するもので、基本的に子宮頸がんの予防を目的としたものです。尋常性疣贅の原因となるHPVとは遺伝子型が異なるため、このワクチンでは尋常性疣贅の予防にはなりません。

尋常性疣贅の原因は、傷口などから侵入したHPVが皮膚の細胞に感染することです。皮膚の傷や免疫力低下によって尋常性疣贅が生じるリスクが上がると考えられるため、スキンケアや免疫力低下を防ぐ生活習慣を心がけるとよいでしょう。また、尋常性疣贅のような症状が現れた場合は皮膚科で治療が可能であるため、受診を検討するとよいでしょう。

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