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病院で行う尋常性疣贅の治療法 ~いぼは自然に治るのか、冷凍凝固療法やレーザー治療とは?~

病院で行う尋常性疣贅の治療法 ~いぼは自然に治るのか、冷凍凝固療法やレーザー治療とは?~
葛西 健一郎 先生

葛西形成外科 院長

葛西 健一郎 先生

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一般的に皮膚から盛り上がっている小さなできものを“いぼ”と呼びます(広義のいぼ)が、その中には尋常性(じんじょうせい)疣贅(ゆうぜい)ウイルス性イボ/狭義のいぼ)、ミズイボ(伝染性軟属腫)、中年イボ(スキンタッグ)、年寄りイボ(老人性疣贅または脂漏性角化症)などさまざまな種類があり、実際はそれぞれが異なる皮膚疾患です。

もっとも一般的ないぼ(尋常性疣贅)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで生じます。

尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する抗体ができれば自然治癒します。それまで待つことができれば、必ずしも治療する必要はありません。ただし、いつ抗体ができるかは分からないため、イボがあることによる不自由(疼痛(とうつう)醜形(しゅうけい)など)が大きい場合には治療が必要になります。

治療する場合には、いぼの種類や発生部位の違いによって、液体窒素を用いた冷凍凝固療法、電気焼灼法、外用療法(グルタルアルデヒド、サリチル酸など)、ヨクイニン内服療法、レーザー治療などの中から患者に適した方法を選択します。場合によっては一度の治療で治すことは難しいため、何度か治療を繰り返す必要があります。また、治療の内容によっては保険適用外のものもあります。

尋常性疣贅の代表的な治療法としては、液体窒素凍結療法、サリチル酸外用、ヨクイニン内服療法、電気凝固、レーザー照射などが挙げられます。詳細は以下のとおりです。

液体窒素凍結療法は尋常性疣贅の治療の第1選択であり、保険も適用となる治療法です。内容としては尋常性疣贅を液体窒素で凍らせて取るもので、周囲を含めて凍結を数回繰り返し、それを1~2週間ごとに行います。部位によって回数が増減することもあります。

注意点としては、いぼの状態や場所によって治療が適さないこと、施術中や施術後数時間程度現れることがある痛みや水ぶくれ、色素沈着や色素脱失といった副作用などが挙げられます。

高濃度のサリチル酸を塗ったり貼付したりすることで角層を剥離し、さらに免疫を活発化して疣贅の発生を予防する作用も期待できる治療法です。表面の角質除去に対して使われる50%サリチル酸絆創膏は保険適用となります。ただし、化学熱傷といった副作用や周囲の皮膚に対する刺激などのデメリットが生じることもあります。

ヨクイニンとはハトムギの種子からできた漢方薬で、保険も適用される治療法です。

4週間程度の投与で10%以上の患者に改善が見られ、8週間で50%、12週間で60%以上に改善が見られたというデータがあります。ただし、副作用として胃部の不快感、下痢、かゆみなどが現れることがあります。

液体窒素凍結法などで効果が出ない場合の選択肢の1つとして電気凝固(電気メス)が挙げられます。これは電気メスで焼く治療法で保険適用となります。機器の設定の仕方で効果が異なることがありますが、電気メスは外科手術でも使われており、有効性や安全性などからも世界的に広く普及していると考えられています。傷が治るまで1~2週間かかります。

レーザーにはさまざまな種類があり、それぞれで尋常性疣贅への有効率も異なります。炭酸ガスレーザー、Er:YAGレーザー(エルビウムヤグレーザー)、PDLレーザー(パルス色素レーザー)、Nd:YAGレーザー(ネオジムヤグレーザー)などが用いられます。ただし、レーザー治療は全て保険適用外となります。

尋常性疣贅は一度消えたように見えても再発することが多いとされています。そのため、治療後数か月間は経過観察を行ったり、再発した場合は早めに受診したりするなどの対応が必要となります。

また、尋常性疣贅の原因はウイルスが皮膚の小さな傷から侵入し感染することです。ささくれや手足の荒れなどの極めて小さな傷から感染することもあるため、むやみに触ることは控えましょう。

尋常性疣贅の治療ではまず病変を削り、冷凍凝固治療から開始します。ただし、1回の治療で治ることはまれで、基本的には何度も治療を繰り返す必要があります。また、いぼの部位や状態によっても治療が異なり、なかなか治らない場合は3か月程度を目安に治療法を変更していきます。

さらに、再発することもあるので日頃から予防を心がけ、根気よく治療を続ける必要があります。治療に関して気になることがある場合は医師に相談するとよいでしょう。

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