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尋常性疣贅にはどんな種類があるの? ~みずいぼや年寄りいぼなどとの違いや分類について解説~

尋常性疣贅にはどんな種類があるの? ~みずいぼや年寄りいぼなどとの違いや分類について解説~
内田 敬久 先生

うちだ皮膚科クリニック 院長

内田 敬久 先生

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尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は一般的に“いぼ”と呼ばれます。しかし、一般にいぼと呼ばれるものの中には、みずいぼ(伝染性軟属腫)などのウイルス疣贅、年寄りいぼ(老人性疣贅または脂漏性角化症)、中年いぼ(軟性線維腫)などさまざまな種類があります。その中でも尋常性疣贅はウイルス性疣贅に分類されるもので、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされるいぼのことを指します。尋常性疣贅はウイルスの型や感染部位、状態によっても種類が分かれるため、本記事ではそれぞれについて詳しく解説します。

俗にいう“いぼ”は、皮膚に現れる盛り上がりのある小さなできものを指すことが一般的です。実際はさまざまに分類され、ウイルス疣贅、軟性線維腫(中年いぼ、スキンタッグ)、年寄りいぼ(老人性疣贅または脂漏性角化症)に大きく分類されます。それぞれ見た目も原因も異なり、ウイルス性疣贅はウイルス感染が、軟性線維腫は摩擦や紫外線が、年寄りいぼは加齢が原因とされています。

また、ウイルス性疣贅はさらに尋常性疣贅(典型例、非典型例)、特殊型、伝染性軟属腫(みずいぼ)に分類されます。尋常性疣贅は子どもの手足などにできることが多いとされ、原因はヒトパピローマウイルスの感染とされています。

先述のとおり、尋常性疣贅は典型例、非典型例に分類することができ、それぞれさらに細かい種類に分けることができます。これらの原因となるウイルスは、主にヒトパピローマウイルス2a型、27型、57型であるとされています。

典型例は表面がかさかさした類円形の隆起した病変で子どもの手足にできることが多く、尋常性疣贅の中でももっとも多いものとされています。

非典型例については以下のように分けられます。

  • 指/糸状疣贅:顔や首にできる盛り上がりのある結節(こぶのようないぼ)で、すぼめた指や糸状に見える。
  • 足底疣贅(そくていゆうぜい):足の裏にできるいぼで、盛り上がりは少なく角質が厚く表面はザラザラとしている。
  • モザイク疣贅: 足底疣贅の1つで、いくつかのいぼが集まって敷石のように見える。
  • 爪囲疣贅(そういゆうぜい):爪の周りに生じる難治性のいぼ。
  • 爪甲下疣贅(そうこうかゆうぜい): 爪の甲の下から塊状に盛り上がるいぼ。
  • ドーナツ疣贅(リング疣贅):環状のいぼ。再発時に現れることが多いとされている。

ウイルス性疣贅の分類

尋常性疣贅に似ている皮膚病変としては、皮膚がん、みずいぼ、尖圭(せんけい)コンジローマなどが挙げられます。

皮膚がんの中には、いぼやほくろのように見えるものがあります。だんだん大きくなる、色が変わる、ただれたようになる場合は皮膚がんの可能性も考えられます。

また、みずいぼは子どもの体にできることがあるいぼで、表面がツルツルしている、光沢がある、直径5mm以下程度、てっぺんに少しへこみがあるなどの特徴があります。尋常性疣贅はカサついた硬いいぼで手足にできることが多いため、みずいぼとは判別しやすいです。

一方、尖圭コンジローマはHPV6型や11型によって引き起こされる性感染症の1つです。性器にカリフラワーのようないぼができ、軽度のかゆみを伴うことがあります。

尋常性疣贅はHPVが皮膚に感染することで生じる皮膚の良性腫瘍(りょうせいしゅよう)です。一般にいぼと呼ばれるものの中ではウイルス疣贅に分類され、尋常性疣贅の中にも典型例、非典型例、さらに感染部位や状態によって種類が細かく分けられています。

ただし、皮膚にいぼのような病変ができる皮膚の病気はほかにも多く存在し、悪性腫瘍の可能性もゼロではありません。そのため、いぼのような病変が現れた場合は皮膚科の受診を検討し、適切な診断、治療を受けるとよいでしょう。

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