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未破裂脳動脈瘤とは? ――破裂のリスクや受診の目安について

未破裂脳動脈瘤とは? ――破裂のリスクや受診の目安について
吉川 雄一郎 先生

埼玉県立循環器・呼吸器病センター 脳神経センター長/脳神経外科科長/脳卒中センター長

吉川 雄一郎 先生

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脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)は、脳の血管の一部が膨らんでできるこぶのことで、破裂していない状態で見つかったものを未破裂脳動脈瘤といいます。破裂するとくも膜下出血をきたすため、未破裂脳動脈瘤が見つかった場合には、破裂のリスクを評価し、適切な方針を立てることが大切になります。今回は、脳動脈瘤の病態や検査方法、くも膜下出血などについて、埼玉県立循環器・呼吸器病センター 脳神経センター長・脳神経外科科長 兼 診療部長 吉川 雄一郎(きっかわ ゆういちろう)先生にお話を伺いました。

脳動脈瘤とは、脳の動脈の壁の弱くなった部分が膨らんでできるこぶのことです。破裂していない状態で発見された脳動脈瘤は、“未破裂脳動脈瘤”と呼ばれています。未破裂脳動脈瘤は日本人の約3%にあり、年に約1%が破裂するといわれています。

脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血を発症します。くも膜下出血は年間で10万人あたり約20人が発症するといわれています。くも膜下出血を発症すると、半数以上の患者さんが非常に重い後遺症が残るか亡くなられるため、破裂のリスクが高いと判断された未破裂脳動脈瘤に対しては破裂を未然に防ぐための治療が検討される場合があります。

脳動脈瘤は男性に比べて女性に多くみられます。したがって、くも膜下出血も女性に多く、男性の約2倍といわれています。また、年齢を重ねるにつれて有病率は上昇します。脳動脈瘤の発生には遺伝の関与が知られていますが、原因は明らかになっていません。ただし、脳動脈瘤の破裂には、高血圧症喫煙が関与するともいわれています。

未破裂脳動脈瘤は、ほとんどの場合で自覚症状がありません。多くは、脳神経外科を受診した際のMRI検査や、脳ドックなどで偶然発見されます。

一方で、脳動脈瘤の場所や大きさによっては、ものの見えにくさや視野の欠損といった症状をきたすこともあります。

脳動脈瘤は、くも膜下腔と呼ばれる脳の周りの空間を通っている血管(脳動脈)に発生します。そのため脳動脈瘤が破裂して出血すると、くも膜下腔に血液が広がります。

脳は頭蓋骨(ずがいこつ)に囲まれており一定の容積しかありません。したがって、くも膜下出血が続くことで頭蓋内圧が上昇し、重度の頭痛や意識障害などが引き起こされます。重症の場合はそのまま死に至ることもまれではありません。

未破裂脳動脈瘤は、その全てが破裂してくも膜下出血を引き起こすわけではありません。先に述べたように、破裂するのは脳動脈瘤のうち年に約1%といわれています。しかし、最大径が5~7mm以上の脳動脈瘤や、脳動脈瘤の一部にブレブとよばれる小さな突起があるもの、形が不整形なものでは破裂するリスクが高くなります。多発している場合や過去にくも膜下出血を起こしたことがある場合、両親や兄弟にくも膜下出血を発症したことのある方がいる場合も破裂のリスクが高くなるといわれています。

また、脳動脈瘤は発生部位によっても破裂のリスクが異なり、前交通動脈、後交通動脈、椎骨脳底動脈などにできた脳動脈瘤は破裂リスクが高いといわれています。こうしたさまざまな因子を総合的に判断して、経過観察でよいのか破裂予防のための治療を行ったほうがよいのかを決めていきます。

脳動脈瘤があるかどうかは、多くの場合MRA(磁気共鳴血管撮影法)で検査できます。MRAとはMRI装置を用いた電磁波を使った検査で、造影剤を使わずに脳血管を立体的に描出できるのが特徴です。

MRAで脳動脈瘤が見つかった場合は、さらに詳しく調べるために造影CTや脳血管撮影を行う場合もあります。造影CTは造影剤を静脈注射して行うCT検査、脳血管撮影はカテーテルという細い管を用いて血管内に造影剤を入れて行うレントゲン検査です。

両親や兄弟に未破裂脳動脈瘤くも膜下出血を発症したことのある方がいて、自分にも脳動脈瘤があるか気になっている方は、一度脳ドックを受けてみてもよいでしょう。また、未破裂脳動脈瘤の有病率は年齢とともに上昇します。そのため40歳以上で一度も脳の検査をしたことがないという方も、脳ドックを受けてみてもよいかもしれません。また、頭痛めまいなどの軽微な症状で病院を受診し、MRAで見つかる場合もあります。気になる症状がある方は医師に相談することも検討してみましょう。

脳動脈瘤は大きさや形、発生部位、家族歴など、複数の要因が破裂リスクに関わってくる病気です。破裂予防のために治療を行うべきか経過観察するのがよいか、また治療する場合にどのような治療が適切かといった治療選択肢については、脳動脈瘤治療を専門とする脳神経外科医師に相談してください。

治療が必要と判断された場合は、治療実績が豊富で複数の治療選択肢があり、その中から適した治療方法を提案してもらえる病院を選ぶのがよいでしょう。

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