院長インタビュー

地域にとけ込み、信頼に応える病院を目指す西宮回生病院

地域にとけ込み、信頼に応える病院を目指す西宮回生病院
福西 成男 先生

医療法人社団 西宮回生病院 院長

福西 成男 先生

目次
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1907年(明治40年)に開院した西宮回生病院は、現在に至るまで100年以上にわたり急性期・回復期の医療を担ってきました。2016年に診療体制を一新し、整形外科とリハビリテーションを中心にした医療を展開する同院の役割や今後について、院長である福西 成男(ふくにし しげお)先生に伺いました。

外観
西宮回生病院外観

当院が開設された1907年当時、この辺りには内科・外科を網羅的に診る医療機関はありませんでした。当院は阪神間初の総合病院としての役割を担い、内科・小児科・眼科の診療を中心に地域の方々の暮らしを支えてまいりました。

開院から100年あまりが経過し、老朽化した施設の建て替えが行われたのは2016年です。これに伴って診療体制も一新し、整形外科とリハビリテーションを軸に診療するようになりました。整形外科というと、打撲骨折の治療をするイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。当院はこれとは少し異なり、人工関節やスポーツ外傷に対する専門的な治療を行っていることが特徴です。

外来
外来
ナースステーションの様子
スタッフステーションの様子

少子高齢化が叫ばれる中にあっても、西宮市をはじめとした近隣エリアには若い世代が多く、スポーツに励む学生さんも少なくありません。ダメージを受けた関節を人工関節に置き換える手術やスポーツによるけがの治療などに対応できることは、地域の医療ニーズにもマッチしていると言えるでしょう。手術によって症状の改善を図ると同時に、術後の患者さんに対して切れ目のないリハビリテーションを行うことによって、日常生活や競技への早期復帰をサポートさせていただきます。

私が股関節(こかんせつ)治療を専門にしていることもあり、当院ではダメージを受けた股関節や膝関節を人工関節に置き換える手術(人工関節置換術)を行っており、ナビゲーションシステムを導入することで安全性に配慮した精度の高い治療につなげています。ナビゲーションシステムとは、CT画像をもとに事前に入念なシミュレーションを行い、計画どおりに手術を実施できるようサポートしてくれるシステムです。これにより合併症のリスクが抑えられ、治療後のよい状態を長く維持することができるため、日常生活が制限されずに過ごせるなどのメリットがあります。

院長手術の様子
手術中の様子(福西院長)

当院の人工関節置換術のもう1つの特徴は、患者さんへの負担が少ない最小侵襲手術(さいしょうしんしゅうしゅじゅつ)(MIS)である点です。最近の外科手術では、腹部を大きく切り開く代わりに小さな穴を開けて手術をする方法(腹腔鏡下手術)が主流になりつつあります。最小侵襲手術もこれと同じようにできる限り筋肉を切らず、筋肉と筋肉の隙間から患部へアプローチするため、術後の痛みの軽減とリハビリ期間の短縮が期待できます。

股関節・膝関節の人工関節置換術と並んで、当院のもう1つの柱となっているのがスポーツ整形外科です。整形外科部長の諸岡 孝俊(もろおか たかとし)先生はサッカーJリーグ・ガンバ大阪のチーフチームドクターを務めており、けがをした選手の検査・治療・リハビリを一貫して担当しています。このほか日本女子フットサルリーグで活躍するSWHレディース西宮、Fリーグのデウソン神戸、甲南大学サッカー部のチームドクターなども当院の医師が担っています。

リハビリ
屋上タータンでのアスレティックリハビリテーション

このようなお話をするとスポーツ整形外科は“プロのアスリートのためのもの”だと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。少年野球やサッカークラブ、中高生の部活動、趣味として楽しむランニングなど、さまざまなスポーツによって生じた運動器の傷害や外傷の治療を担当するのがスポーツ整形外科です。医師を中心に日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーや理学療法士が連携し、早期の競技復帰をサポートいたします。

当院は整形外科領域における専門的な診療を行う一方で、開院から100年以上にわたって地域医療を担ってきた医療機関でもあります。この地域に暮らす方々を地域の中で支えていくために、特に力を入れているのがリハビリテーションです。当院で手術を受けた患者さんに対するリハビリはもちろん、他の医療機関で手術を受けられた後に転院し、当院がリハビリを担当することもできます。入院中や退院後のリハビリ、さらに通所リハビリ(デイケア)や訪問リハビリなど、切れ目のないリハビリテーションをご提供しております。

病棟
病棟

“絶対に見捨てない”――これは当院の基本理念でもありますが、私たちは不安を抱える患者さんを前に、見て見ぬふりはいたしません。たとえば、他の病院で手術をされた患者さんを当院で受け入れて、ご自宅に戻った後も問題なく生活できるようにリハビリを行ったり、運動器の障害に加えて全身の病気をお持ちの高齢患者さんに対して、内科や脳神経外科が連携して治療にあたったり……。それぞれに社会的背景の異なる患者さん一人ひとりに適したサポートを行えることが当院の強みです。

当院の診療の柱となっている人工関節置換術は、熟練の技術と経験を要する難易度の高い手術です。そのため、思い切って手術を受けたものの“術後の経過が思わしくない”とお困りの患者さんも珍しくありません。“絶対に見捨てない”という理念を掲げる当院にとって、困っている患者さんに手をさしのべることは使命です。人工関節置換術の再手術は全て当院で担当できるように、そんな気持ちで取り組んでいきたいと考えています。

再手術となる患者さんや合併症リスクのある高齢患者さんの手術は、一般的な手術に比べてさらに難易度が高まります。そうした患者さんにも安心して手術を受けていただけるように、常に先端技術や設備を積極的に取り入れ、優秀な医師の育成にも力を注ぎ、質の高い医療を安定して提供できるよう努めてまいります。

当院は1907年に開院して以降、内科・小児科・眼科の病院として親しまれていたと聞いています。2016年に歴史ある建物が新しい病院へと生まれ変わったのを機に、整形外科とリハビリテーションを中心に診療するようになり、人工関節置換術においては全国から患者さんが足を運んでくださるようになりました。また、スポーツ整形外科の領域ではプロサッカーチームや大学サッカー部のチームドクターを務めるなど、さまざまなスポーツに取り組むアスリートをサポートしています。

一方で当院の小児科診療は開院以来の長い歴史があり、かつて小児科にかかっていたお子さんが立派に成長され、ご自分のお子さんを連れて受診されるケースも少なくありません。2世代、3世代にわたってお付き合いが続いていくことをうれしく思うと同時に、地域の方々の暮らしを支えていくことへの責任も感じております。今後も地域の方々により親しまれ、より頼られる病院を目指してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

*写真提供:西宮回生病院

*診療科、医師、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年4月時点のものです。

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