さっかしょう

擦過傷

同義語
すり傷,擦り傷
最終更新日:
2024年12月05日
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2024/12/05
更新しました
2018/09/12
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概要

擦過傷とは、皮膚が擦り剥けてできた傷で“擦り傷”とも呼ばれます。日常生活において生じる頻度の高いけがです。

皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織の順で構成されています。擦過傷は一般的に皮膚の浅い部分(表皮や真皮)に生じ、真皮より深い皮下組織までは障害されていない状態を指します。

擦過傷は多くの場合、縫合しなくても自然に治りますが、傷口に付着した土や砂などから細菌感染を起こすことがあります。さらに、皮膚内に異物が残ったまま皮膚が再生すると、皮膚内の異物が黒っぽく目立ち刺青のように見える“傷性刺青(がいしょうせいしせい)”という状態を招くこともあります。

傷口からの細菌感染を防ぎ、外傷性刺青を予防するためには、傷を受けた時に患部を流水でよく洗浄し、異物を取り除くことが重要です。

原因

擦過傷は、転んだり壁などにぶつけたりして、膝や肘を擦った際などに生じます。擦過傷では、このような外傷によって表皮や真皮が損傷を受けます。

症状

一般的に出血や痛みなどの症状がみられ、次第にかさぶたができます。

通常、擦過傷は縫合の必要はなく、自然に軽快します。しかし、外傷時に傷口に付着した土や砂などの異物が皮膚内に侵入すると、細菌感染を引き起こすことがあります。感染を起こすと傷の治りが遅れるほか、傷口から(うみ)が出たり、痛みや腫れが強くなったりすることもあります。中でも、土の中に存在する破傷風菌に感染すると、破傷風を引き起こし、全身に痛みや痺れが生じ呼吸困難などが生じることがあるため注意が必要です。

また、皮膚内に侵入した異物が取り除かれないまま皮膚が再生すると、皮膚内に残る異物が黒っぽく刺青のように見え(外傷性刺青)、整容面で問題になるケースもあります。

傷口を流水でよく洗浄するなど適切な処置を行うことで、多くの場合で擦過傷は自然に治ります。しかし、不適切な処置を行うと皮膚が再生しにくくなるほか、傷口に感染を伴った黄色いかさぶたができることがあります。黄色いかさぶたの内部で細菌などが増殖すると、傷の治りが遅れ、痛みが続くこともあります。

検査・診断

擦過傷は視診を行って傷口の深さや範囲などを確認します。感染の可能性がある場合や傷が深い場合は、細菌の培養検査やX線検査、MRI検査などを追加で行うこともあります。また、外傷時に骨折を合併することがあります。骨折を疑う場合にもX線検査を行います。

治療

擦過傷を負った場合は、感染や傷の治りが遅れるのを防ぐため、速やかな応急処置を行うことが重要です。医療機関では傷の状態に応じた処置を行います。

また、傷は紫外線にさらされることで色素沈着を起こすことがあるため、傷が治った後の数か月間は患部を紫外線にさらさないよう注意が必要です。

応急処置

速やかに流水で傷口を洗浄し、土や砂などをできる限り取り除きます。洗浄して異物が除去できて傷口の範囲が狭い場合は、傷を保護する被覆材を患部に貼付して保護します。

医療機関での処置

傷口の範囲が広い場合や傷が深い場合、洗浄しても異物を完全に取り除くことが難しい場合は、感染が長引く可能性があるため、医療機関で適切な処置を受ける必要があります。

皮膚内に異物が残っている場合は、医療機関で専用のブラシなどを使って患部を洗浄します。さらに、傷口の周辺や周囲の皮膚を消毒し、必要に応じて抗菌薬を含む軟膏を塗り、傷の状態に応じた被覆材を貼ります。

傷口が治った後に皮膚内に異物が残り、外傷性刺青を認める場合はレーザー治療などが考慮されます。

また、培養検査の結果や症状から破傷風と診断された場合は、抗菌薬の投与のほか、症状に対しての治療が行われます。1967年以前に生まれた方は、子どもの頃に破傷風ワクチン(破傷風トキソイド)の定期接種がされておらず、破傷風の基礎免疫がありません。予防接種を受けていない場合は破傷風ワクチンの接種が推奨されます。

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