原因
びまん性汎細気管支炎は、空気の通り道である「呼吸細気管支」を中心に慢性的な炎症が生じることで発症します。慢性的に呼吸細気管支に炎症が生じるため、気道が狭窄して呼吸困難が生じたり、痰を自力で排出できなくなってしまい、肺に痰が溜まったりします。
老化した細胞や細菌は、痰として肺の外に排出する必要があります。痰の排出には、気管支の表面にある「線毛」が適切に機能することがとても大切です。しかし痰の量が多い、あるいは線毛の輸送機能が悪くなると痰を運びきれなくなります。
また、痰は咳をきっかけとして体外に排出できますが、咳が弱い状態ではうまく痰を排泄できなくなります。びまん性汎細気管支炎の患者さんでは線毛の動きが悪くなり、また咳も弱くなることから、うまく痰を排出できなくなり呼吸困難に陥ります。
びまん性汎細気管支炎は、日本人を始めとしたアジア人に多い病気です。このことから、びまん性汎細気管支炎の発症要因として人種特異性(遺伝的に大まかに分類し、その中のほぼ特定のグループにだけみられる性質)があるのではないかという考えもあります。
ヒトの細胞には「HLA」と呼ばれるタンパク質が存在していますが、HLAは個人差や人種差があることが知られています。びまん性汎細気管支炎の日本人患者さんにおいては「HLA-B54」といった型をもつ方が高い確率でいることが報告されています。しかしその一方、韓国ではHLA-B54を持つ患者さんが少なく、HLA-A11をもつ患者さんが多いという研究報告もあり、遺伝的背景に加えてなにかしら別の要因が存在する可能性も示唆されています。
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