インタビュー

慢性気管支炎・びまん性汎細気管支炎とは?原因不明の咳や痰が続く

慢性気管支炎・びまん性汎細気管支炎とは?原因不明の咳や痰が続く
望月 太一 先生

国際医療福祉大学三田病院呼吸器センター呼吸器内科部長

望月 太一 先生

気管支炎は罹患の期間によって急性と慢性の2種類にわけられます。慢性気管支炎は現在慢性閉塞性肺疾患(略称:COPD)の範疇とされています。一方びまん性汎細気管支炎は診断が難しく、治療が遅れると以前は死亡する恐れのある難病疾患でした。

慢性気管支炎びまん性汎細気管支炎の症状や診断、気管支炎の予防方法について前回に引き続き国際医療福祉大学三田病院、呼吸器内科部長の望月太一先生にお話を伺いました。

この記事で書かれていること

  • 慢性気管支炎(慢性閉塞性肺疾患)は、発熱はなく数週間以上に渡り咳や痰の症状がみられる
  • 症状の似ている疾患にびまん性汎細気管支炎があるが、継続的に大量の痰が出る点が異なる
  • びまん性汎細気管支炎の検査方法

慢性気管支炎とは?現在は慢性閉塞性肺疾患(COPD)に含まれる

慢性気管支炎とは、原因不明の咳や痰が数週間以上続く状態です。正確には慢性または反復性に喀出される気道分泌物の増加状態が少なくとも2年以上連続し1年のうち少なくとも3か月以上、大部分の日に認められる状態で、他の原因による肺疾患や心疾患に起因するものは除外すると定義されています。現在では肺気腫(はいきしゅ:肺胞の組織が壊れ、肺にたまった空気を押し出せなくなる疾患)と慢性気管支炎を、慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)と総称しています。

慢性閉塞性肺疾患の原因の大多数は長期的な喫煙とされています。長期的に喫煙をすることで肺のなかの気管支、肺胞に炎症が生じます。慢性閉塞性肺疾患は炎症に基づく閉塞性換気障害(へいそくせいかんきしょうがい:空気の通り道である気道が閉塞してしまい、空気が通りにくくなる)を呈すると定義づけられています。

急性気管支炎のように発熱はなく、数週間以上に渡って咳や痰の症状がみられます。

細気管支を中心におきる

びまん性汎細気管支炎という疾患があります。これは進行した例では息切れを呈する為、慢性閉塞性肺疾患と症状が類似することがあります。以前は治療法が無く進行例では死亡例も報告されている、治療の難しい疾患でしたが、1984年に工藤らによって少量エリスロマイシン(EM)療法が紹介され、それまで難治性であった、びまん性汎細気管支炎の予後は著しく改善しました。現在では診断し治療をすれば治癒が可能となっています。慢性閉塞性肺疾患を疑われている患者さんのなかには、よく検査してみると、実は慢性閉塞性肺疾患でなく、びまん性汎細気管支炎の方がいます。

びまん性汎細気管支炎の症状とは?

びまん性汎細気管支炎の主な症状は、慢性閉塞性肺疾患のように咳や痰が長期的にみられます。しかし、びまん性汎細気管支炎では継続的に大量の痰が出ます。患者さんによって痰の量は変わりますが、200~300ミリリットルの痰が1日に出る方もいます。

また、びまん性汎細気管支炎の方のほとんどは副鼻腔炎(ふくびくうえん:鼻腔に隣接している副鼻腔に炎症が生じて膿が溜まる)を合併しています。長期に渡って咳や、大量の痰が出る方は、びまん性汎細気管支炎の可能性があります。

びまん性汎細気管支炎の要因は?

びまん性汎細気管支炎は遺伝的な要因で発症する方もいるといわれています。親族にびまん性汎細気管支炎を罹患している方や、痰がよく出る方がいる場合は呼吸器の専門施設への早期の受診を推奨しています。

びまん性汎細気管支炎の検査方法は?

びまん性汎細気管支炎の検査では、喀痰検査(かくたんけんさ)、レントゲン検査やCT、肺機能検査(息を吸う力や吐く力、酸素を取り込む能力を検査する)を行います。先ほども述べましたが、びまん性汎細気管支炎の発症には遺伝的な要因が関与することもあります。びまん性汎細気管支炎では問診が重要な診断の、いとがかりになるので医師は問診の際に下記の通り家族歴などを質問する場合があります。

  • 副鼻腔炎を罹患しているか
  • 親族にびまん性汎細気管支炎を罹患している方がいるか
  • 親族に肺が悪い方がいるか
  • 親族に痰がよく出る方がいるか

びまん性汎細気管支炎の治療方法は?

大量の薬

びまん性汎細気管支炎が提唱されていなかった頃、この疾患は慢性気管支炎などと診断され、有効な治療方法もないまま進行して呼吸不全を呈している方もいました。しかし、現在では抗生物質のマクロライドを長期的に少量投与することで、治癒ができる疾患だと判明しています。

ですから、びまん性汎細気管支炎の主な治療方法は、マクロライド少量長期療法となります。早期に確定診断ができれば、治療効果が高いとされています。しかし症状が進行してしまうと呼吸不全を呈し胸部X線、CTでも診断が困難になってきます。本疾患は現在では診断が確立され難治例が少なくなり、去りゆく疾患となりつつありますが、慢性閉塞性肺疾患とともに患者さんに啓発していくべきだと私は考えます。