概要
カフェイン中毒とは、カフェインの過剰摂取により血液中のカフェイン濃度が上昇することで起こる中毒症状を指します。吐き気や意識障害、不整脈などさまざまな症状が現れます。
カフェインはコーヒーやお茶などの飲み物、チョコレートなどの食品だけでなく、風邪薬や酔い止め薬などの医薬品にも含まれていることがあります。近年は眠気を覚まし、集中力を高める効果が期待できることから、カフェインを多量に含むエナジードリンクや錠剤なども販売されるようになりました。
これらの飲み物や医薬品などは、成人が適正量を守って摂取する分には健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。しかし、長期間にわたってカフェインを摂り続けたり、一度に大量のカフェインを摂取したりすると、中毒症状を引き起こす恐れがあります。
子どもはカフェインの影響を強く受けやすいことが分かっているほか、妊娠中のカフェインの過剰摂取は胎児に影響を及ぼすという報告もあるため、該当する方は摂り過ぎに注意しましょう。
原因
カフェイン中毒はカフェインを過剰に摂取することによって起こります。カフェイン中毒には、長期間にわたってカフェインを摂り続けることによって発症する慢性カフェイン中毒と、短時間に多量のカフェインを取ることによって症状が急激に現れる急性カフェイン中毒があります。
症状
カフェイン中毒の症状は消化器症状、精神神経症状、循環器症状などに大きく分けられます。ときに命に関わることもあるため、注意が必要な中毒症状といえます。
代表的な症状は以下のとおりです。
消化器症状
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
精神神経症状
- 興奮
- 不眠
- 意識障害
- けいれん発作
循環器症状
検査・診断
カフェイン中毒が疑われる場合、日頃のカフェイン摂取量や直前のカフェイン摂取状況について問診し、血液検査などを行います。カフェイン中毒では低カリウム血症、低リン血症、高血糖、高乳酸血症などがみられる傾向があるため、血液検査ではカフェインの血中濃度のほか、これらの異常がないかも併せて調べます。カフェインの血中濃度を測定できる病院は限られているため、血液検査のみでの診断は難しいといえます。そのため、カフェインの摂取量や、どんな症状があるか、どんな検査異常があるかなどを総合的に評価して診断を行います。
治療
一般的には、対症療法を行いながら血液中のカフェイン濃度の低下を待ちます。また必要に応じて活性炭の投与など消化管からの吸収を防ぐ処置を行うこともあります。
けいれん、不整脈、血圧低下など重症のカフェイン中毒が疑われる場合には、血液浄化療法(血液透析などで原因物質を取り除く方法)が行われます。カフェインの血中濃度が測定できるときは、血中濃度を参考にして血液浄化療法を検討することもあります。
予防
カフェインは年齢などによって体にもたらす影響が異なります。それぞれのケースで注意すべき点は以下のとおりです。
子どもの場合
日本では具体的な摂取量の制限はありませんが、カナダ保健省では1日の最大摂取量は4~6歳で45mg、7~9歳で62.5mg、10~12歳で85mgまでと定めています。この指標を参考に子どもがカフェインを摂り過ぎないように注意しましょう。
妊娠中の場合
妊娠中のカフェイン摂取に関して、世界保健機構(WHO)は、1日300mg以下を推奨しており、イギリスや欧州では200mg以下を推奨しています。これらを踏まえると、妊婦は1日のカフェイン摂取量を200~300mg以下に抑えるほうがよいと思われます。カフェインはコーヒーや紅茶、緑茶など多くの製品に含まれているため、これらの飲料は1日1〜2杯までとしましょう。近年はノンカフェインやカフェインレスの商品も多く販売されているため、これらをうまく活用するとよいでしょう。
成人の場合
カナダ保健省では健康な成人の場合、1日400mg(コーヒーだとマグカップ3杯分ほど)までのカフェイン摂取が望ましいとされています。また、カフェインで生じる影響には個人差があるため、吐き気を感じたり、不眠症状が出ていたりする場合には量を減らすなどの対策を行いましょう。特にカフェインを多く含む飲み物やエナジードリンク、錠剤などを摂り過ぎないことが重要です。
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