治療
サラセミアの治療は、外来で通院を行いながらすることが可能です。治療の目的は貧血の改善です。軽症の場合は、定期的に血液検査を行い貧血の有無をチェックします。重症の貧血の場合は、輸血療法を行い、不足しているヘモグロビンを補充します。場合によっては数十年という長期間に渡り輸血療法を継続する必要があります。そのため、頻回な輸血の副作用である“鉄過剰症”が問題となることがあります。鉄は心臓や肝臓に少しずつ蓄積するため、頻回の輸血により鉄が過剰になると、心臓や肝臓の機能が低下します。そのため、体内から鉄を排出するのを助けてくれる“鉄キレート療法”を併用します。また、鉄剤の内服薬は禁止されます。
輸血療法
点滴と同じ要領で腕に針を刺し、血液を補充します。血液検査で赤血球の値を確認しながら、月に数回、外来に通院しながら治療を行います。ヘモグロビンが補充されるため、心臓や脳にかかる負担が減ることで、自覚症状が改善します。
鉄キレート療法
飲み薬で、体内からの鉄の排出を促進するため、頻回な輸血により体内に過剰に鉄が蓄積されるのを防ぎます。副作用としては、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛などの胃腸症状、腎障害が出ることがあります。
造血幹細胞移植療法
重症型の一部の症例でこの治療を行います。HLA(組織適合性抗原)という型が一致するドナーから提供された造血幹細胞を移植することで、血液の大本の細胞を入れ替える治療です。唯一、サラセミアを根治することのできる治療です。通常の抗がん剤治療を行い、病気をよい状態にコントロールした後に続いて治療を行うことがほとんどです。大量の抗がん剤や放射線を用いて、骨髄にいる悪性の細胞だけでなく正常の細胞まですべて破壊してしまうため、身体にかかる負担が非常に大きく、高齢者がこの治療を受けることはまれです。
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