はんせん病

ハンセン病

目次

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概要

ハンセン病とは、らい菌(Mycobacterium leprae)に感染することにより、皮膚や神経に症状が現れる感染症のひとつです。

古くから存在している感染症の一種ですが、原因菌の感染力は非常に弱く、多くの方が自然免疫を持っているといわれています。

すでに治療方法も確立されており、後遺症を残すことなく完治することが期待できます。日本における新規患者数は毎年数例ですが 、世界では年間約21万人の新規患者が報告されています。

原因

原因菌

ハンセン病は、らい菌(Mycobacterium leprae)に感染することで発症します。増殖の速度は非常にゆっくりです。人の体温は37℃前後に保たれていますが、らい菌はそれより低い31℃前後の温度を好む性質があります。そのため、人に感染した後も体の表面である皮膚で増殖する傾向があります。また、らい菌は皮膚以外に末梢神経(シュワン細胞)にも好んで生息することが知られています。

感染経路

ハンセン病は、つばや咳などを介して感染すると考えられています(飛沫感染)。ただし、感染の成立に重要な乳幼児期に濃厚で頻回な感染を受けた場合以外では、ほとんど発病につながりません。

発病に関与する要因

感染から発病までには、個々人の免疫能、栄養状態、菌量、環境要因など、さまざまな要因が関与します。感染後は数年から数十年の経過を経て発症しますが、発症する人はごく一部であり、感染をした後も発症することなく一生涯を終えることがほとんどであるとされています。

 

症状

ハンセン病の主な症状は、皮膚と神経に関連した症状です。

皮膚症状

皮膚症状の出方は人によりさまざまです。以下は症状の一例です。

  • 皮膚が赤くなる
  • 皮膚が白くなる
  • 皮膚が盛り上がる
  • 結節(けっせつ)が形成される

など

皮膚症状の多様性はハンセン病の大きな特徴で、らい菌に対する宿主(ヒト)の反応の違いによると考えられています。

神経症状

皮膚に見た目の変化が生じている部分の感覚が鈍くなります。温度や痛みに対する感覚が障害されるため、たとえば、熱いものに触れても気付かずにやけどを起こすこともあります。また、脱毛が起こる場合や汗が出にくくなる場合もあります。

ハンセン病では心臓や肺、肝臓などの内蔵臓器が障害を受けることはほとんどありません。皮膚症状とそれに伴う感覚障害が症状の主体であり、ハンセン病そのものが原因となり死に至ることはほとんどありません。

検査・診断

ハンセン病を診断するためには、らい菌の存在を確認することが必要です。らい菌は現在まで培養に成功していないため、皮膚スメア検査、病理組織検査、PCR検査の3つの検査で確認を行います。皮膚の一部を切除し、らい菌を顕微鏡で確認できるようにするために「抗酸菌染色」という検査が行われます。また、らい菌の遺伝子を検出するためのPCR法と呼ばれる方法が取られることもあります。さらに皮膚や神経を切除して、病理検査を行うこともあります。

また、ハンセン病では、皮膚の感覚が鈍くなるため、痛みや温度、触覚に対しての検査や神経の伝導速度なども調べます。その他にも、補助的な診断として、らい菌が特異的に持っている物質(抗原)に対する抗体検査を、血液を用いて行うこともあります。

治療

ハンセン病の治療目標は、不可逆的な神経障害を起こさずらい菌を排除することです。そのため、早期に治療を行うことが重要になります。ハンセン病の治療薬の基本は、3種類の薬剤のうちいくつかを組み合わせて行う「多剤併用療法」です。日本においては原則的に使用される3種類の薬剤に加えて、ニューキノロン系の抗菌薬が追加されることもあります。

治療経過に伴い、「らい反応」と呼ばれる急性反応が生じることもあります。皮膚や神経の炎症が強くなることで、痛みや局所所見の悪化などが起こります。らい反応が出現した際には、ステロイドで炎症を抑えることもあります。また、治療完了後も症状が再燃(再び現れること)することがあるため、長期的に経過観察を行うことが大切です。

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