原因
ボツリヌス症はボツリヌス菌が産生する“ボツリヌス神経毒素”が体内に入り込むことにより、神経が正常に機能するのに必要なアセチルコリンと呼ばれる物質の産生が抑制されるため、全身の神経麻痺が引き起こされます。
ボツリヌス症は発症の仕方によって大きく4つに分けられています。
もっとも多いのは、ボツリヌス神経毒素が付着した食品を摂取することによる“ボツリヌス食中毒”です。ボツリヌス菌は自然界に多く存在する細菌であり、空気がない環境の中で毒素を産生する性質があります。そのため、果物、野菜、肉、魚などの缶詰やレトルト食品が主な原因となります。
通常、ボツリヌス菌自体を摂取しても体内で毒素が産生されることはありません。しかし、消化管の機能が未熟な1歳未満の乳幼児や消化管の病気などがある成人では、ボツリヌス菌が付着した食品を摂取すると消化管の中で毒素が産生されてボツリヌス症を発症することがあります。このようなパターンのボツリヌス症を“乳児ボツリヌス症”や“成人腸管定着ボツリヌス症”と呼びます。原因となる食品としては、はちみつが代表例として挙げられます。
また、ボツリヌス症は傷口に入り込んだボツリヌス菌が傷口の中で毒素を産生することで発症することもあります。このようなボツリヌス症を“創傷ボツリヌス症”と呼びますが、日本では現在のところ発症者の報告は上がっていません。
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