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ミトコンドリア病
ミトコンドリア病とは、ミトコンドリアのはたらきが低下することによって引き起こされる病気を総称した疾患名を指します。ミトコンドリアとは、全身の臓器が正常な活動を行うためのエネルギーを産生するのに重...
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ミトコンドリア病みとこんどりあびょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

ミトコンドリア病とは、ミトコンドリアのはたらきが低下することによって引き起こされる病気を総称した疾患名を指します。ミトコンドリアとは、全身の臓器が正常な活動を行うためのエネルギーを産生するのに重要なはたらきを持っています。

ミトコンドリア病では臓器が正常な機能を果たすのに充分なエネルギー産生が出できなくなる結果、全身各種臓器が機能低下を起こす可能性があり、したがって、ミトコンドリア病の症状は全身多岐に渡ります。

ミトコンドリア病は国から難病に指定されていて、平成24年度医療受給者証保持者数は1,087人となっています。これを患者数ととらえるとけっして多いわけではありません。しかしながら実際にミトコンドリア病の診断を正確に付けることは困難であり、代表的な遺伝子変異である3243変異やそのほかのミトコンドリア異常を持っている方がたくさんいらっしゃる一方、ごく一部の方しか発症していないということも考えられています。

今のところミトコンドリア病の診断基準には全世界的に定まったものがありません。ミトコンドリア病の診断基準を制定することは、今後の課題のひとつとして挙げられています。 治験として臨床試験で使用されているものもある一方、治療方法関して確立されたものはまだ存在しておらず、今後の進捗が強く期待されています。また、次世代に遺伝する可能性もあるため、遺伝カウンセリングの必要性も求められる病気です。 

原因

ミトコンドリアは細胞の一つひとつにそれぞれ数百個ずつ存在し、細胞の活動に必要なエネルギーを作り出す役割を担っています。ミトコンドリア病とは、ミトコンドリアに異常が生じることで機能が障害され、細胞のはたらきが悪くなってさまざまな症状が現れることをいいます。

体のどの部分のミトコンドリアにどれくらい異常が生じるかによって症状が大きく異なります。 ミトコンドリア病の原因はDNAが変化することによる遺伝子変異です。これにはミトコンドリアDNAの変化が原因である場合と、核DNAの変化が原因である場合の2通りがあります。

ミトコンドリアと核は細胞を構成する別々の構造物ですが、お互いが有機的にはたらきあうことが正常な細胞活動には必要不可欠です。したがって、いずれのDNAが障害を受けたとしても、細胞全体としての正常活動が障害される可能性があります。

ミトコンドリア病の多くは、核DNAの変化ではなくミトコンドリアDNAの変化が原因で発症します。ミトコンドリアDNAは母系(母性)遺伝といって母親から子どもに受け継がれ、父親のミトコンドリアは通常、子どもに受け継がれることはありません。

母から受け継がれたミトコンドリアDNAの変化が体の中のどこの細胞にどれくらいの割合で存在するかによって、子どもの症状の有無や程度は異なります。 少量しか受け継がれなければ、何も症状をおこさないことになります。

また、ミトコンドリアDNAの変化は母親から受け継ぐ以外にも、突然変異によって生じる可能性があります。ミトコンドリアDNAに変異を持って生まれる新生児は少なくとも200人に1人以上であり、突然変異が生じる確率はおよそ1,000人弱に1人といわれています。 

症状

ミトコンドリア病は、エネルギーを多く必要とする脳や筋肉などに特に症状が出やすいことから「ミトコンドリア脳症」、「ミトコンドリア脳筋症」とも呼ばれています。しかし、体のどの部分で症状があらわれるかは患者さんによってさまざまであり、その症状の現れ方によって、非常に複雑に、さまざまなタイプ(病型)に分類されています。

たとえばミトコンドリア病で一番多いMELASという病気は、脳卒中(急激な意識障害や運動麻痺など)を起こすとされています。そのほかにも心臓や膵臓、耳、内分泌器官など複数の臓器において、臓器の機能障害に関連した症状が出現する可能性があります。

そのほかにもMERRFと呼ばれるミトコンドリア病ではミオクローヌスと呼ばれる自分の意識とは無関係な異常運動を生じますし、Leigh脳症では精神運動発達遅延やけいれん、筋力低下などの症状を乳幼児期に発症します。

しかしながら、同じ病型を有する人が、すべからく同じような症状を呈するとは限らず、かつ同じ個人のなかでも症状出方は時間と共に変化することが知られています。ミトコンドリア病の症状経過は非常に千差万別であり、将来を予測することは困難です。 

検査・診断

ミトコンドリア病の検査は、「ミトコンドリアの異常を調べる検査」と「どのような症状が出ているかを調べる検査」との2つに大別されます。 ミトコンドリアの異常を調べる検査には、ミトコンドリアDNAもしくは核DNAを用いて遺伝子異常を検索することがされます。

またミトコンドリアの異常が存在すると、細胞の機能障害が生じ正常な細胞活動を実行できなくなります。こうしたことを確認するために、筋生検を通して見た目に異常な変化が生じていないかを検索することもされます。 どのような症状が出ているかを調べる検査では、各臓器における特異的な検査を行い異常の検索をします。

たとえば、ミトコンドリア病ではてんかんを生じることがあるため、脳波検査で脳の機能を評価します。心臓においては不整脈が生じることがあるため、心電図を行うことがあります。また膵臓の機能が低下し糖尿病を糖尿病することがあるため、糖尿病を評価するためにHbA1cの測定などがなされます。

治療

ミトコンドリア病の治療は、対症療法と根本治療の二つに分類することができます。 対症療法では、機能障害を起こしている臓器に応じた治療を行うことになります。

例えばてんかんであれば抗てんかん薬、不整脈であればペースメーカー、難聴であれば人工内耳の使用、糖尿病であればインスリンなどの血糖降下薬、などです。 その一方で、病気そのものの本態がミトコンドリア機能の異常であるため、ミトコンドリアの代謝にかかわる物質やビタミン類を投与して、ミトコンドリアの機能を高めることをめざした治療も治験段階で行われています。

そのほか、受精卵の核移植、ミトコンドリアDNAの初期化機構、クリスパーキャス技術を用いた遺伝操作など、数多くの方法が試みられています。しかし、注意すべきはこれら方法には治療効果や安全性、倫理面での問題など解決すべき問題も多く、実際に幅広く使用が出来るまでにはまだ時間を要するということです。

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