みとこんどりあのうきんしょう

ミトコンドリア脳筋症

同義語
Mitochondrial Encephalomyopathy, Lactic Acidosis, and Stroke-like syndrome,ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群
最終更新日:
2025年01月14日
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2025/01/14
更新しました
2018/07/18
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概要

MELAS(mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes)とは、ミトコンドリアの機能が低下することで、失語や麻痺、頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害などを伴う脳卒中に似た発作(脳卒中様発作)を特徴としたさまざま症状が全身にみられる病気です。

ミトコンドリアはヒトの細胞が正常に働くためのエネルギーを生み出しています。このミトコンドリアの機能に問題が生じると、それに伴い細胞の機能にも問題を生じることがあります。こうしたミトコンドリアの異常により生じる病気は“ミトコンドリア”と呼ばれ、MELASはミトコンドリア病を代表する病気の1つです。

MELASでは、細胞でのエネルギー産生に関わるタンパク質の合成が低下することでミトコンドリアの機能が低下し、より多くのエネルギーを必要とする器官である脳や筋肉に関連した症状が生じます。治療としては、病気による症状の治療を行う対症療法と、原因となるミトコンドリアの機能を改善させる原因療法が行われます。

原因

ミトコンドリアの中でタウリンという成分を利用する能力に異常が生じると、ミトコンドリアの機能を維持するためのタンパク質の合成ができなくなります。これによりミトコンドリアを含む細胞が正常に働くためのエネルギーを作り出すことができず、特にエネルギーを必要とする脳や筋肉に関連した症状が生じます。しかし、主な症状として現れる脳卒中様発作についての詳細な原因は分かっていません。

また、ミトコンドリアの機能が低下すると、乳酸が細胞の中に蓄積され、蓄積された乳酸は、さまざまな症状を引き起こす原因になります。

症状

MELASの特徴的な症状としては、脳卒中様発作が挙げられます。脳卒中様発作をはじめとする脳や神経の症状のほかにも、全身のさまざまな器官に症状が現れることがあります。症状が現れる部位やその程度は患者によって異なります。

脳や神経の症状

卒中様発作では脳卒中に似た症状が現れ、失語や麻痺のほか、頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害などを生じます。頭痛が初めに現れ、その後、けいれんや意識障害を生じるケースが多いとされています。これらの症状は長引いたり繰り返し現れたりしますが、その繰り返しにより脳の病状が進行し、認知機能などが段々とダメージを受けていきます。

そのほかの症状

たとえばホルモンなどの分泌に異常が生じると、低身長、糖尿病などの症状が現れます。そのほかにも、心臓の筋肉の異常、視力や聴力の障害、胃や腸など消化器の障害、末梢神経や筋肉の障害などがみられることがあります。

検査・診断

多くのケースでは、脳卒中様発作など、MELASに特徴的な症状が現れた際に発症が疑われます。行われる検査としては、どのような症状が現れているかを調べる検査と、ミトコンドリアの異常が存在するかを調べる検査の2つに分けられます。

ほかの病気の可能性を除外し、検査結果からMELASに特徴的な所見、ミトコンドリアの異常を示す所見が一定数みられる場合に診断が確定します。

症状の検査

血液検査、髄液検査、画像検査などが行われます。MELASは脳に症状が現れることが特徴であり、診断を確定させるためには画像検査が必須です。

MRIやMRAなどの画像検査が行われますが、血管の状態などを確認し、脳卒中の可能性を除外することも重要です。

ミトコンドリアの検査

血液や筋肉の組織を採取し、遺伝子に病気の原因となる変化があるかを調べます。ミトコンドリア自身がもつ遺伝子を調べるだけでなく、ミトコンドリアが含まれている細胞の遺伝子を調べることもあります。なお、MELASでは約8割のケースでミトコンドリアにA3243Gと呼ばれる変化があるとされています。

遺伝子の異常のほかにも、ミトコンドリアが関わる酵素のはたらきの低下や、血液や髄液中の乳酸の増加、筋肉の組織の異常がみられるときには、ミトコンドリアに異常があると考えられます。

治療

MELASの治療は、それぞれの症状に応じて行われる対症療法と、原因となるミトコンドリアの異常に対して行われる原因療法の2つに分けられます。

対症療法

糖尿病てんかんなど、有効な治療法が存在する症状に対しては対症療法が行われます。例として、糖尿病の場合には食事指導や薬物療法、てんかんの場合には抗てんかん薬による薬物療法などが行われます。

原因療法

MELASでは脳卒中様発作を予防することが重要とされており、タウリンには発作を抑制する効果があるといわれています。発作の抑制のためにはL-アルギニン塩酸塩も用いられています。

そのほか、ビタミンなどの栄養素の投与が行われることもあります。

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