れっしゅ・ないはんしょうこうぐん

レッシュ・ナイハン症候群

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

レッシュナイハン症候群とは、先天性代謝疾患のひとつであり、指を噛むなどの自傷行為や精神発達遅滞、運動障害などで特徴付けられる疾患を指します。

原因は、プリン体を再利用するためのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ (HGPRT)という酵素の先天的な欠損であり、尿酸が過剰に体内に蓄積し、痛風や腎障害を来すX連鎖性劣性遺伝疾患です。

レッシュナイハン症候群は、遺伝形式の特徴を反映して、ほとんどの場合は男児に発症します。国の指定難病等医療給付制度に指定されている難病であり、日本では男子出生の10万人に一人でみられると考えられます。

レッシュナイハン症候群に対する根治的な治療方法はこれまでのところ確立されておらず、対症療法が中心となります。

原因

レッシュナイハン症候群は、HPRT1と呼ばれる遺伝子に異常が生じることで発症します。HPRT1はヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼと呼ばれる酵素を産生するのに重要な遺伝子です。

ヒトの細胞に含まれるDNAは、プリンやピリミジンと呼ばれる構成成分から成り立っています。ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼは、プリンを細胞内でリサイクルできるようにする役割を担っています。

レッシュナイハン症候群ではプリンのリサイクルが阻害されるため、さまざまな代謝されない物質が細胞内に蓄積するようになります。代表的には、尿酸が細胞内に代謝されない物質として蓄積します。

尿酸は高尿酸血症痛風、腎機能障害の原因となります。その他、脳内でも代謝されない物質が蓄積することになり、さまざまな神経症状や精神症状が引き起こされることになります。

レッシュナイハン症候群は、X連鎖性劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとります。この遺伝形式では、男児が主に病気を発症し、女児において病気をみることはまれです。

症状

症状としては、舞踏病アテトーゼを伴う精神発達遅滞、自傷行為、高尿酸血症が主な所見です。

典型的には乳児期早期より哺乳異常、発育不良がみられ、はいはいやお座り、歩くなどの動作が通常よりも遅れ運動発達遅滞が明らかになります。1歳を過ぎて舞踏病アテトーゼを伴う不随意運動が、2歳を過ぎて自傷行為が出現します。

尿酸はおしっことして排尿されるとオムツの中でピンク色の結晶になるため、色が付着したオムツによりレッシュナイハン症候群が疑われることがあります。生後2~3か月で腎結石、尿路感染症が認められます。

高尿酸血症により関節の腫れや痛みを生じることがあります。また、尿酸が皮膚の下に蓄積することで、腫瘤性病変を見ることもあります。

腎臓に尿酸の結晶を形成すると、腎結石や血尿を生じることもあります。さらに、結晶が原因となって尿路感染症(発熱や背部痛などを伴う)を発症することもあります。

検査・診断

レッシュナイハン症候群は、特徴的な臨床症状から疑われます。血液検査や尿検査を行うことで、尿酸が多く体内に産生されていることを確認します。

また、血液検査を通して得られた赤血球を用いて、酵素活性の低下も確認します。

レッシュナイハン症候群はHPRT1遺伝子の異常によって引き起こされるため、遺伝子検査により遺伝子異常を確認することも診断に直結します。

治療

レッシュナイハン症候群の根治的な治療法は存在せず、生じてくる症状に対する対症療法が治療の中心となります。

レッシュナイハン症候群で生じる症状は、運動面から精神発達面まで多岐に渡るため、療育やリハビリテーションなどを行うことが重要です。

また、内服薬も用いられ、自傷行為に対しては抗けいれん薬や向精神薬、高尿酸結晶に対してはアロプリノールなどが検討されます。尿路感染症の発症時などには、抗生物質による治療も必要です。

また、レッシュナイハン症候群は、遺伝子性疾患としての側面を持つため、遺伝カウンセリングも考慮する必要があります。

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