概要
不正咬合とは、歯並びや咬み合わせが悪い状態のことを指します。不正咬合は、口元の見た目に影響するだけでなく、重症な場合には咀嚼機能などに異常を引き起こすなど日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
不正咬合にはさまざまなタイプがあり、日本人に多いのは歯が顎に入りきらないことでバラバラな位置や方向に生えてくる“叢生”とされています。そのほかにも、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている“反対咬合”、上顎の歯が前方に過剰に突出する“上顎前突”などがあります。
不正咬合を改善するには歯列矯正や過剰な歯の抜歯などが必要となりますが、発症には骨格、上下の前歯の歯並び、咬み合わせに関わる機能などが関係しているため、それぞれの原因に合った治療を行うことが大切です。
原因
不正咬合は、骨格・歯槽・機能のいずれかに何らかの異常があることによって引き起こされます。
骨格は上下の顎の大きさや位置のことを指し、上下の顎の発育の差などによって異常が引き起こされます。歯槽とは歯が埋まり込む顎骨の穴を指し、歯槽に問題があると歯が過剰に傾いたり突出したりするといった異常を招きます。機能は歯を咬み合わせる能力のことを指し、咬み合わせに必要な筋肉、舌の力のバランスの乱れなどが主な異常の原因となります。
不正咬合にはさまざまなタイプがあり、これらの3つの要因のうち1つのみの異常によるケースもありますが、複数の要因が重なって引き起こされるケースも少なくありません。
症状
不正咬合は、歯並びや咬み合わせが悪い状態のことです。原因によっていくつかのタイプがあり、日本人にもっとも多いのは歯が顎に入りきらないために歯が正しい位置からずれてバラバラに生える叢生とされています。
そのほかにも、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている“反対咬合”、上顎の前歯が前方に過剰突出する“上顎前突”、下の前歯がほとんど見えなくなるほど上下の歯が深く咬み合わさる“過蓋咬合”、歯を咬みしめても上下の前歯の間が開いてしまう“開咬”などがあります。
いずれも口元の見た目に影響を与える原因となり、重症な場合は食べ物を噛む能力に支障をきたすことも少なくありません。また、発音に影響を与える可能性や、汚れがたまりやすくなることでう蝕(むし歯)や歯周病になりやすくなる可能性なども考えられます。
検査・診断
不正咬合が疑われるときは歯科医師による歯列や咬み合わせの評価が行われます。一般的には顎の状態などを把握するためにX線検査やCT検査などによる検査が必要です。
また、不正咬合は全身の状態を把握するために血液検査を行うこともあります。
治療
歯並びの悪さが主な原因の不正咬合の場合は、歯並びを修正する歯列矯正を行うのが一般的です。歯列矯正は、歯にブラケットという装具を付け、ワイヤーとバンドで引っ張ることで歯を適正な位置に導きます。近年ではマウスピースなどを使用した歯列矯正を行うケースも増えていますが、いずれの場合でも歯列を修正するには数か月以上の期間を要します。また、歯が顎に入りきらずさまざまな位置や方向に生えてくる叢生などの不正咬合では、顎に歯を収めるために抜歯を行うことも少なくありません。
一方、下あごの突出など骨格自体の異常による不正咬合は歯列矯正を行っただけでは十分に改善できません。顎の形や長さを変える手術を行ったうえで、歯の位置を修正する術後歯列矯正を行う必要があります。
予防
不正咬合は骨格の異常や顎と歯の大きさのミスマッチなど、生まれつきの要因によって引き起こされることが多いとされています。
しかし、不正咬合の中には乳幼児期の指しゃぶりや口呼吸などの習慣、顎関節の外傷や感染による炎症、むし歯や歯周病による歯の喪失などが原因で引き起こされることもあります。不正咬合を予防するためには、原因となる習慣に注意して、顎関節などの異常がある場合は適切な治療を受けることが大切です。
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