なかじょうにしむらしょうこうぐん

中條・西村症候群

目次

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概要

中條・西村症候群とは、幼少時から皮膚の発疹や発熱を繰り返すことで特徴付けられる自己炎症性疾患です。炎症が繰り返される過程で脂肪や筋肉の萎縮、関節の拘縮(こうしゅく)も見るようになります。中條・西村症候群は、PSMB8遺伝子の異常により発症することが知られています。日本では難病指定を受けている病気であり、これまでに30名ほどの患者さんが報告されています(2019年時点)。病気の発症地域に偏りがあることも知られており、和歌山や大阪南部地域に多い病気です。なお、同じ遺伝子異常にて発症する病気として「JMP症候群」(Joint contractures, Muscle atrophy, Microcytic Anemia, and Panniculitis Induced Lipodystrophy:JMP)と「CANDLE症候群」(Chronic Atypical Neutrophilic Dermatosis with Lipodystrophy and Elevated Temperature Syndrome :CANDLE Syndrome)が知られています。中條・西村症候群に対する確立された治療方法はなく、今後研究の促進が期待される病気です。

原因

中條・西村症候群は、PSMB8遺伝子の異常によって発症します。PSMB8遺伝子は、プロテアソームと呼ばれる細胞器官を形成するのに必要不可欠な遺伝子です。プロテアソームにはいくつかの重要な役割がありますが、免疫反応と深く関連したものをひとつの例に挙げることができます。外部から体内に侵入した細菌やウイルスはタンパク質を作りますが、こうした侵入者由来のタンパク質なのか、それとも生体自身のタンパク質なのかを見極める役割をプロテアソームは担っています。この見分けがうまくいくことで、病原体由来の生体にとって不要なタンパク質をうまく処理できるようになります。また、細胞内で使い古されたタンパク質は、必要な処理を受けた後にプロテアソームで分解され再利用されます。PSMB8遺伝子の異常が生じるようになると、こうしたタンパク質の仕分け・分解作業がうまくできなくなり、不要な炎症反応が引き起こされます。その結果、中條・西村症候群を発症することになります。

PSMB8遺伝子の異常は、「JMP症候群」と「CANDLE症候群」と呼ばれる病気でも見られるものです。中條・西村症候群を含めたこの3つの病気は、皮膚の異常と脂肪の減少で特徴付けられます。

中條・西村症候群は、「常染色体劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとります。この遺伝形式では両親が保因者であり、両親から病気の原因となる異常遺伝子を引き継ぐことからお子さんが病気を発症することになります。次世代で病気を発症する可能性は理論上25%であり、病気の保因者となる可能性は50%です。

症状

中條・西村症候群では、初発症状として皮膚のしもやけ様発疹を幼少期に見られます。しもやけ様発疹は寒くなると生じることが多いです。その後、結節性の紅斑も見られるようになります。皮膚の症状以外にも筋肉痛や全身症状としての発熱を繰り返します。こうした発作を繰り返すにつれて、徐々に筋肉や脂肪が失われるようになり、顔や胸、腕がやせ細るようになります。筋肉が減少すると関節をうまく動かすことができなくなるため、関節が固くなる「拘縮」と呼ばれる症状を続発するようになります。拘縮の症状は特に指や手首、肘に見ることが多いです。

そのほかの特徴として、肝臓や脾臓が腫れることや、貧血や血小板減少を見ることもあります。さらに、カルシウムの沈着による石灰化と呼ばれる病変を、脳の一部(特に基底核)に見られることもあります。なお、発達に障害を生じることもある病気です。

検査・診断

中條・西村症候群は、PSMB8遺伝子の異常によって発症します。そのため、同遺伝子異常を検索することを目的とした遺伝子検査が行われます。また、中條・西村症候群の診断では、プロテアソームの機能が低下していることも重要な指標となります。このことを確認するためにプロテアソームの活性を測定することもあります。中條・西村症候群では、慢性的に炎症反応を繰り返したり、筋肉に障害が起きていたりすることも特徴です。このことを反映して、血液検査にてCRPやAAアミロイド、CPK、LDHの上昇といった所見を見ることがあります。また頭部CTにて基底核の石灰化を検索することもあります。

治療

中條・西村症候群は慢性的な炎症性疾患であるため、ステロイドが使用されます。しかし、短期間の発熱抑制や炎症軽減には効果がありますが、長期的に見た際の筋肉や脂肪の減少に対しての効果は乏しいです。むしろステロイド使用による副作用(骨粗しょう症や緑内障、成長障害など)が懸念される状況が多いです。そのほかにも、さまざまな治療薬が使用されていますが、現在までのところ奏功する薬は同定されていません(2019年時点)。それゆえ、今後の研究がさらに発展することが強く期待される病気です。

中條・西村症候群では、寒冷刺激で症状が増悪することがあるため、寒い環境を避けることが重要です。また、関節の拘縮を予防するためのリハビリテーションをすることも大切な治療です。