症状
二分脊椎では、脊髄神経の癒着や牽引、圧迫などによって多彩な神経症状が現れます。ただし、顕在性と潜在性で症状の種類や出方が異なります。
顕在性二分脊椎
出生時に異常のある脊椎部の皮膚が欠損し、そこから脊髄が見えます。また、出生時にすでに下肢の運動麻痺や感覚麻痺、膀胱直腸障害(尿が出にくい・ひどい便秘など)などの神経症状を認め、多くは水頭症やキアリ奇形2型を合併します。
水頭症は脳内に髄液が過剰にたまった状態を指し、脊髄神経が露出する脊髄髄膜瘤では80~90%の症例で水頭症が発生します。水頭症になると嘔吐やけいれん、知的障害、学習障害などが生じる場合があります。
キアリ奇形は小脳の形成異常に関連した奇形です。過半数の患者さんに認められ、無呼吸発作や喘鳴といった呼吸障害や、嚥下障害がみられることがあります。
潜在性二分脊椎
潜在性では脊髄が正常な皮膚に覆われているため、肉眼的に脊髄が見えませんが、異常のある脊椎部に膨らみ(脂肪腫)やくぼみなどの皮膚症状を認めることがあります。
出生時に神経症状がみられることは多くありませんが、脂肪腫によって脊髄の成長が妨げられたり、癒着した脊髄が身長の伸びについていけずに引き伸ばされたり(脊髄係留)して、膀胱直腸障害が次第に現れてきます。中には下肢の運動障害や感覚障害(痛み、しびれなど)、関節変形などが現れる場合もあります。水頭症やキアリ奇形を合併することは基本的にありません。
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