概要
停留精巣とは、本来は陰嚢の中におさまる精巣が、鼠径部やお腹の中などに位置する状態のことを指します。インターネット上では「停留睾丸」と検索されていることも多いようです。
停留精巣を放置すると、精巣から悪性腫瘍が出現する危険性が高まったり、不妊症につながったりする可能性があります。そのため、停留精巣は生後間もなくは自然に陰嚢に下降することがありますが、月齢6までに改善が見込まれない場合には、早い段階で治療方針を決定することが重要です。
原因
精巣は、胎児期初期は腎臓のそば、お腹の中にあります。成長するに従い、徐々に下降し、最終的に陰嚢内に移動してから出生してきます。しかし、この移動の過程に異常が生じることがあり、お腹の中に留まったままで出生しくるのが停留精巣です。
症状
陰嚢内に精巣が触れないことから病気の存在が疑われます。特に症状はなく、定期健診の際に診断されることがあります。停留精巣は年齢を経た際に悪性腫瘍を生じることがあります。また、精子の産生が低下し、不妊症につながることもあります。
停留精巣は、生後半年頃までは陰嚢へ移動することが期待できますが、それ以上経過すると移動が期待できなくなります。このため手術は1歳前後、遅くとも2歳までには実施して陰嚢内に移動させる必要があります。
検査・診断
身体診察によって陰嚢を触診することで診断できます。精巣の正確な位置を確認するために、超音波検査やCT検査、MRI検査などが行われることがあります。また、鼠径部に精巣を認めない場合、腹腔内に存在する場合があるため、内視鏡で腹腔内を観察する腹腔鏡検査を行うことがあります。診断後も、生後半年頃までに精巣が下降するかどうかを確認します。
治療
停留精巣を放置すると、悪性腫瘍が発生したり、精子の産生機能に影響が生じて不妊症につながったりすることが懸念されます。そのため、精巣が自然に陰嚢内に降りてくることが期待できない場合には、精巣を正常な位置に戻すための手術が行われます。鼠径へルニアのリスクがあると判断される場合には、そのリスクを低減させるための治療も行われます。
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