せんてんせいこかんせつだっきゅう

先天性股関節脱臼

骨・関節

目次

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概要

先天性股関節脱臼とは、生下時もしくは生下後に大腿骨と骨盤の位置関係が悪く、股関節が脱臼をしている状態を指します。「先天性」という名前がついていますが、実際には後天的な要素でも脱臼が生じることもあるため、2017年現在では「発育性股関節形成不全」という名称が広く使用されています。

先天性股関節脱臼が診断されずに放置されると股関節の成長が障害されます。また治療が適切に行われなければ、股関節の変形を起こし長期的な機能障害につながる恐れもあります。そのため、乳児健診などを通して病気を早期に発見し、治療介入を行うことが重要です。

原因

骨盤にはくぼみを形成している寛骨臼(かんこつきゅう)または臼蓋(きゅうがい)と呼ばれる部分があります。また、太ももを形成する大腿骨の上端には、大腿骨頭(だいたいこっとう)と呼ばれる、丸みを持つ部分があり、それが骨盤のくぼみである寛骨臼にはまり込むことで股関節は形成されています。

しかし、乳児期は股関節が未発達で、寛骨臼のくぼみや股関節が、適切に形成されていない場合があります。先天性股関節脱臼とは、大腿骨頭が寛骨臼から完全に外れている(脱臼)、または外れかかっている(亜脱臼)状態のことをいいます。

先天性股関節脱臼の原因としては、先天的な因子や出生後の生活習慣など、さまざまなものが想定されています。出生前の環境因子としては、骨盤位を代表とする胎位の異常、多胎妊娠、子宮筋腫、羊水過少などがあります。また、出生後の環境因子としては、窮屈なオムツや肌着、抱き方やスリングの使用などがあります。これは股関節がつよく曲げられた位置、あるいは伸ばされた位置で固定されてしまうことから、先天性股関節脱臼が発症すると考えられています。

また、こうした環境因子以外にも、染色体異常や先天性多発性関節拘縮症など、先天奇形として発症するタイプの先天性股関節脱臼も知られています。

症状

先天性股関節脱臼は、乳児期早期の段階から症状が出現しており、両側の脚の長さが異なることで気付く場合があります。脚の長さが異なることから立て膝をすると膝の高さが左右で違ったり、股関節を伸ばした際に大腿部のシワのより方に左右差が生じていることが目安となります。

また、先天性股関節脱臼では脚を広げることが難しくなるため、赤ちゃんらしく脚を広げた姿勢をとらずに、脚が内側に向きがちになります。さらに大腿骨頭が寛骨臼にきっちりとはまっていないことを反映して、脚を開く動作をすると脱臼の感覚(クリック音)を指に感じることがあります。

先天性股関節脱臼が残存したままさらに時間が経過すると、股関節が不安定なために自立歩行ができない場合もあります。また、歩行が可能な場合であっても、歩行が不安定であったり、すぐ転倒したり、脚の角度が左右で異なる、といった症状がみられることがあります。

検査・診断

先天性股関節脱臼が疑われた際には、レントゲン検査を行うことがあります。ただし乳児期は、まだ骨が発達していないのでレントゲンによる診断が難しい場合があります。

また、放射線被曝のリスクから、検査自体に抵抗があるという保護者の方もいらっしゃいます。このような場合、レントゲン検査の代替としてエコー検査が行われることがあります。エコー検査は、レントゲン検査と比較するとより専門的な技術や知識が必要であり、普及度は高くはありません。しかし、安全で確実性の高い検査方法なので今後広まっていくと考えられています。

治療

先天性股関節脱臼は、症状の程度やみつかった時期によって治療法が異なります。股関節が柔らかい乳児期にみつかった場合は、股関節を正常な位置に保つように、生活指導で治していきます。それでも改善がみられない場合は、乳児にリューメンビューゲルという装具を装着するリーメンビューゲル法や、乳児をベッドに固定して脚を引っ張る牽引法によって、脱臼の整復および正常な股関節の形成を促します。

また、程度によっては、痛みなどの症状が出ていなくても、大人になってから症状が出る可能性が高いため、筋力や傷の回復力も考慮して早期の手術を検討することがあります。

また、先天性股関節脱臼は後天的な環境因子が誘因となって発症することもあります。したがって、発症予防の観点から、日常生活において注意すべき点も出てきます。たとえば、抱っこやおんぶの際にはお子さんの脚が開いた状態を保つことが重要です。また股関節に対してきついオムツや服は股関節の自由な運動を阻害してしまうために避けるよう指導が行われます。

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