げんぱつせいこつずいせんいしょう

原発性骨髄線維症

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概要

原発性骨髄線維症は、遺伝子の異常により血液細胞が著しく無尽蔵に増殖し、反応性最終的に骨髄が硬く変化(線維化)してしまう病気です。骨髄はスポンジ状になっており、血液細胞(赤血球・白血球・血小板)の種となる造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)が育つ場所です。原発性骨髄線維症では、遺伝子異常によって、この造血幹細胞に問題が生じ、骨髄の線維化が進んでしまうと考えられています。これによって、骨髄の内が線維化により硬くなってしまい血球を生産することができなくなると、倦怠感などの貧血症状や脾臓の腫れが生じることもあります。さらに、白血球や血小板の不足による免疫力の低下から、命に関わる重篤な合併症などにも罹患しやすくなってしまいます。骨髄線維症のうち原発性のものはまれな病気で、20万人に1人程度しか発症しませんが、予後は悪く生存中央期間は3~4年程と考えられます。同じ原発性骨髄線維症の型でも、さまざまなリスク要因によって予後は異なります。高度の被曝と関連があるとされ、原爆被害者ではより高い頻度で発症が認められています。

原因

本来は血球を産生する場であるはずの骨髄組織の大部分が線維化し、通常の造血が行えなくなります。その結果として本来成人では起こり得ない骨髄以外の組織での造血(髄外造血)で低下した血液の産生能を補おうとします。しかし、それでは正常な血液細胞を生み出すことができず、血液検査で異常な数値や形状の血液細胞が見られる様になります。そもそも骨髄組織が線維化する原因に関してはまだ分からないことも多いですが、JAK2と呼ばれる造血に関わる遺伝子や、エリスロポエチン(赤血球産生を促すホルモン)、トロンボポエチン(血小板産生を促すホルモン)の受容体と関係する遺伝子などに異常があることが分かっています。

症状

20%程度の方は診断された際は無症状の場合が多いです。症状のある場合は、それぞれの血球減少に応じた息切れ、出血傾向などの症状や、疲労感、体重減少、四肢の浮腫み、脾臓腫大に伴う腹部不快感、膨満感、食欲の減少、下痢などが主となります。また、病気の経過の最中にほとんどの患者様は微熱、寝汗とい言った全身症状を経験し、ほかの骨髄増殖性疾患よりも重度です。脾臓の腫大は特徴的な症状ですが、必ずしも起きるわけではありません。急性白血病へ進行する場合もあり、そのほかに、心血管イベント、血栓症、出血、あるいはその他の原疾患の悪化が死因となります。

検査

無症状の場合は、別の理由で行った血液検査から発見されることが多いです。赤血球は減少している場合が多いですが、白血球と血小板は増えていることも減っていることもあります。その他の血液検査では、LDH、ビタミンB12、ALPと言った数値が上昇します。また、遺伝子検査や骨髄での線維性増殖を確認するために骨髄穿刺(こつずいせんし)骨髄生検が必要となりです。診断は症状、血液検査、骨髄検査の結果からWHOの診断基準に照らし合わせて行われ、特にその他の骨髄増殖性疾患や骨髄異形成症候群を除外することが重要です。病状の経過は、全身症状の有無、年齢、血球減少の程度や骨髄生検検査の結果をもとに低リスク、中等度リスク-1、-2、高リスクに分類され、特に高リスクの場合は生存中央期間が2年程度と厳しい状態です。

治療

低リスクの場合は生存中央期間が10年程度なため、脾腫(ひしゅ)や血球減少に伴う症状が軽い場合は経過観察となります。症状が重篤な場合はJAK2阻害薬を内服する場合もあります。中等度以上のリスクの場合は、完治を目的として同種骨髄移植が検討されますが、治療のリスクも大きいため患者さんの年齢や元々の健康状態が非常に重要です。骨髄移植の適応とならない方では、JAK2阻害薬を使用することで脾臓腫大の改善、自覚症状の軽減、生存期間の延長が認められます。しかし、治療開始前の貧血や血小板数低下が高度の場合はそれを更に悪化させる場合があるので注意が必要です。JAK2阻害薬は貧血、血小板減少以外の副作用は比較的少なく、忍容性の高い薬剤です。その他の治療として、貧血や血小板減少を輸血で補うほか、白血球や血小板数の増加が問題となる場合では抗がん剤を用いる場合もあります。このように、病気のリスクの高さや患者さんの元々の健康状態などで治療法が大きく異なるだけでなく、新たな治療法が試験されている病気であるため、医師としっかりと相談していくことが重要です。

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