概要
反復性耳下腺炎とは、耳下腺の炎症を繰り返し生じる病気です。5歳前後のお子さんによく発症し、女の子よりも男の子に多く見られる傾向があります。耳下腺炎を何度も繰り返しますが、思春期までには病気が自然治癒する傾向にあります。
耳下腺に痛みや腫れが生じ、いわゆるおたふく風邪との鑑別が必要となるため、医療機関にて適切な診断を受けることが大切です。
原因
反復性耳下腺炎は、免疫が弱っているときに、口の中の常在菌が耳下腺に移行し、発症すると考えられていますが、明らかな原因は特定されていません(2018年12月時点)。感染症やアレルギー、遺伝学的要因、耳下腺の構造的な異常などが発症に関わるとも推定されています。また、シェーグレン症候群を代表とする自己免疫疾患との関連性も指摘されています。
症状
反復性耳下腺炎では、耳の周辺にある耳下腺が腫れて痛みます。症状は基本的には数日程度で治まることが期待できますが、その後一定の期間(たとえば数か月)をおいて再燃します。耳下腺の症状に加えて、微熱や倦怠感などの全身症状がみられることもあります。しかし、反復性耳下腺炎は、年齢を重ねることで自然治癒することが期待できます。多くの場合は思春期前後までには再発がみられなくなりますが、まれに成人期になっても症状を繰り返すことがあります。
検査・診断
反復性耳下腺炎は、耳下腺の腫れや痛みを生じる耳下腺炎を繰り返すことから疑われます。
診察では、医師が見たり触ったりすることで耳下腺の腫れを確認します。また、症状や受診までの経過等を問診します。おたふく風邪のワクチン接種を行っているかや、周囲の流行状況などの情報も考慮されます。
検査としては、血液検査や超音波検査、唾液腺撮影などが検討されます。また、CT検査やMRI検査などの画像検査が行われることもあります。
治療
反復性耳下腺炎は何度も耳下腺炎を繰り返しますが、それぞれの症状は数日で改善することが期待できます。その間、痛み止めや抗生物質の使用を検討し、脱水にならないように食事や水分摂取に注意しながら経過を見ます。
まれに成人期になっても症状が反復されることがあり、状況によっては耳下腺の一部を摘出して病理組織を調べることも行います。
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