概要
口蓋隆起とは、硬口蓋と呼ばれる口腔内の天井部に相当する部位の中央部の骨の隆起性(盛り上がること)病変を指します。発生の原因として遺伝学的な要因などが示唆されています。しかし、明確な原因は明らかになっていません(2018年時点)。幼少期には見られず、成人期以降が多いとされ、自覚症状に乏しいため、別の理由で医療機関を受診した際に偶然に病気の存在を指摘されることもあります。
原因
口蓋隆起は、専門的には「外骨症」と呼ばれる骨質の過剰発育です。硬口蓋と呼ばれる口腔内の天井部に相当する部位に発生します。この病気の発生の原因としては、遺伝学的な要因、その他局所の慢性的な刺激、歯周系の病気との関係、咬合(咬み合わせ)などが挙げられています。しかし、その明確な原因はいまだ不明です(2018年時点)。
症状
口蓋隆起は、幼少期には見られず、成人期以降が多いとされています。その後も生涯にわたって経時的にゆっくりと大きくなります。
口の中の隆起として出現する口蓋隆起ですが、自覚症状に乏しく、別の理由で医療機関を受診した際、初めて病気の存在を指摘されることもあります。一方、患者さん自身が硬口蓋部の隆起性病変を見つけ、悪性腫瘍を含めた腫瘍性病変を疑い医療機関を受診することもあります。
口蓋隆起が大きくなると、歯ブラシや義歯があたり、そこに口内炎を発症しやすくなります。義歯を作成する際に、口蓋隆起が存在するためにうまく義歯の調整ができないこともあります。
検査・診断
口蓋隆起は、硬口蓋に(ほとんどの場合)左右対称性の硬い骨の隆起があるため比較的診断は容易です。CTにて骨の隆起性病変を同定することができます。また、腫瘍性病変との鑑別(区別)のため病変部位の組織の一部を顕微鏡で観察する病理検査を行うこともあります。また構音障害が疑われる際には、発音の障害がどの程度なのかを評価するために、構音検査も検討されます。
治療
口蓋隆起は悪性の病気ではありません。そのため、自覚症状がない場合には特別な治療は行わずに経過観察となります。しかし、義歯の装着や作成に支障がある、頻繁に隆起部位が傷つけられて口内炎を繰り返す場合や、うまく言葉を発することができない、うまく食べることができないなどの症状があるような場合には、骨の隆起部を手術により摘出することもあります。
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