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「咽頭炎」の治療を医師が解説―どんな薬を使うの?市販の薬や漢方でも治るの?

「咽頭炎」の治療を医師が解説―どんな薬を使うの?市販の薬や漢方でも治るの?
村上 信五 先生

名古屋市立大学医学部付属 東部医療センター 特任教授・高次ウイルス感染症センター長

村上 信五 先生

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この記事の最終更新は2019年10月24日です。

咽頭炎は、のどに起こる炎症のことを指します。

のどが痛むために飲み込みが難しくなる、声が出ないなどの症状を伴うほか、熱が出る、のどが赤くなる・腫れる、白苔(はくたい)(白い苔状のもの)や(うみ)の栓が付くなどの症状もみられます。

一般的に、咽頭炎には短期間で改善することが多い「急性咽頭炎」と、炎症が長く続く「慢性咽頭炎」があります。

誰にでもかかり得る病気ですが、その治療はどのようなことをするのでしょうか。また、どのような薬が使われるのでしょうか。

この記事では、咽頭炎の治療方法や薬などの疑問について医師がお答えします。

咽頭炎には「急性咽頭炎」と「慢性咽頭炎」があります。治療方法は、それぞれの症状や重症度などによって異なります。

急性咽頭炎

軽度の急性咽頭炎では、水分補給や冷却などの一般的な感冒(風邪ひき)と同様の対応で改善することがあります。

しかし、発熱や痛みが強い場合は、薬剤の使用が必要となることがあります。

慢性咽頭炎

炎症が慢性化した慢性咽頭炎では、炎症によって現れる症状を軽減させることを目的に、咳止めや吸入の薬が使用されます。

咽頭の痛みや発熱がある場合には、炎症を抑える薬や総合感冒薬、うがい薬が使用されます。また、個々の症状に合わせて咳や(たん)を抑える薬が使用されることもあります。

炎症の程度が強く、仕事や学校に行くことができないほどの疲れ、食事がとれない、38.6度以上の熱がある、咽頭の発赤と腫れが顕著であるなどの重症例では、炎症を抑える薬を中心とした薬物療法が実施されることがあります。

もともと健康上の問題がない方でウイルスが原因の咽頭炎では、抗菌薬は効果がなく使用されません。漫然とした抗菌薬の使用は耐性菌を生み出す原因となるため、注意が必要です。

一方、高齢者の方や基礎疾患(もともとの体の病気)をもつ方の場合では、2次感染を起こす可能性が高く、細菌感染を発症した場合に重症化しやすいため、抗菌薬が使用されることがあります。

炎症が広範囲にわたった慢性咽頭炎では、炎症によって現れる咳や喉の違和感を和らげることが治療の主体であり、炎症を抑える薬に加えて咳止めが使用されたり、吸入が実施されたりすることもあります。

症状が軽度のものであれば、水分を多めにとり、休養をとることで症状が軽くなることがあります。このような症例では、市販薬や漢方薬でも効果が期待できる可能性があります。

発熱や痛みが強くなるような場合は病院での処方が必要となることが多く、受診することが望ましいです。

急性咽頭炎、慢性咽頭炎ともに、炎症がある状態では刺激物は避けることが望ましいです。

また、飲酒は炎症を広めてしまう可能性があるため避けたほうがよいでしょう。水分は多めにとり、安静を保つことが大切です。

咽頭炎があっても日常生活にそれほど支障がなく、咽頭の違和感が軽度で、熱が37.5度未満、扁桃に腫れがなく発赤のみなどの軽症例であれば、対症療法が中心となります。

安静と水分補給が重要のため、喫煙と飲酒を避け、睡眠を十分にとるように心がけましょう。

炎症の改善には生活習慣における注意も必要です。喫煙によってのどへの刺激が続いている場合や、飲酒によって炎症を起こしやすくなっている状態では、症状の改善に時間を要し、炎症を繰り返すこともあるため注意しましょう。

急性咽頭炎では軽症の場合は比較的短期に症状が軽減することが多く、4~7日程度で改善することもあります。

炎症の程度が強く発熱などほかの症状も伴う場合には、治癒するまでより長い日数を要します。

慢性咽頭炎では、炎症が激しく、飲み薬での治療効果が期待できない場合に点滴が実施されます。このような際には入院治療が実施されることもあり、長期間の治療が必要です。

咽頭炎は誰もがかかり得る病気であり、個々の症状によって治療方法も異なります。

気になる症状がある場合は早めに病院への受診を検討し、医師に相談するようにしましょう。

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