概要
外傷性頸部症候群とは、交通事故や転倒などをきっかけとして生じる症候群を指します。肩こりや首の痛みなどが生じ、いわゆる「むち打ち」として認識されます。発症した場合には、2~4週間安静にし、その後は通常通りに生活します。痛みに対して鎮痛薬が用いられることもあります。必要に応じて運動療法や心理療法なども行われます。
原因
交通事故や転倒などの際に、首に踏ん張ろうとする力がかかり、突発的に大きな力が加わることがあります。このような場合に、首周囲に存在する組織に傷が加わることで、外傷性頸部症候群が発症すると考えられています。また、外傷によって脳での痛みの感じ方や、姿勢や眼球の調節状況などが変化することも、発症に関与していると考えられています。
症状
外傷直後から症状が生じることもありますが、数時間から数日の間をおいてから症状が明らかになることもあります。具体的には、首の痛みや肩の痛み、頭痛など、首を中心としてその周囲に痛みが生じます。痛みのために首の運動が制限されることもあります。
痛み以外にもめまいや手のしびれ、吐き気、手足の脱力などが出現することもあります。その他にも、耳の聴こえの低下や耳鳴り、気分の変調や不安、抑うつ気分、疲労感、集中力の低下、睡眠障害などを生じることもあります。
基本的には自然治癒が期待できますが、慢性化することもあります。また、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)の発症につながることもあります。
検査・診断
外傷性頸部症候群では、問診にて、首や肩の痛みなどの症状や、交通事故に遭遇した、首を強打した、といった発症時の状況を確認します。また、首に対するレントゲン検査やCT検査、MRI検査といった画像検査を行います。こうした画像検査により、骨折や脱臼、ヘルニアなどが生じていないかどうかを確認することで、診断を確定します。
治療
首の固定などを行い、2~4週間安静にします。痛みに対しては鎮痛薬の使用も検討します。運動療法や心理療法などを行うこともあります。
外傷性頸部症候群は、基本的には自然治癒が期待できる疾患です。安静にする期間が長すぎると、逆に症状が遷延することも懸念されるため、一定期間が過ぎた後は、通常通りの生活に戻ることが大切であると考えられています。
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