概要
外耳腫瘍とは、外耳道や耳介に生じる腫瘍のことを指します。外耳には、良性腫瘍と悪性腫瘍、どちらも発生することがあります。良性の外耳腫瘍には、アテローム、肉芽腫、血管腫などがあります。悪性の外耳腫瘍には、扁平上皮がん、基底細胞がん、悪性黒色腫(ほくろのがん)などがあります。
外耳腫瘍がみつかるきっかけは、耳にできものができるといった見た目の変化や、耳の聴こえの低下などが挙げられます。良性、悪性どちらの外耳腫瘍にも、見極めが必要な似た病気が数多くあるため、検査を受け、正確な診断がなされることが重要です。
外耳の近くには脳や中耳など重要な器官があります。そのため、治療では腫瘍を取り除くことだけでなく、これらの器官の機能を保つことや、見た目の問題を最小限に抑えることも重視されます。
原因
外耳腫瘍は、大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分けることができます。
良性の外耳腫瘍の原因
良性腫瘍の原因としては、血管腫のように生まれつき生じるものや、肉芽腫のようにピアスなどの刺激によって発生するものがあります。この他、皮膚の垢や皮脂がうまくはがれ落ちずに溜まってしまうことで生じるアテロームと呼ばれる良性腫瘍もあります。
悪性の外耳腫瘍の原因
外耳腫瘍には悪性腫瘍が含まれますが、発生頻度としては非常に少ないです。悪性の外耳腫瘍は、皮膚を構成する細胞のうち、どの細胞から生じたかにより、名称が変わります。なかでも扁平上皮がんが占める割合が多いです。
本記事に記載した腫瘍以外にも、外耳腫瘍に含まれるものは沢山存在します。実際の治療に際しては、正確な診断を受けることが重要です。
症状
耳介や外耳道に近い部位に外耳腫瘍が発生した場合、できものができるなど、見た目にわかる症状が生じるため、ご自身で病気に気付くことが多いです。
外耳道の奥のほうに腫瘍が発生した場合は、見た目の変化は分かりにくいです。外耳道にできものが生じると、耳の聴こえに支障が生じるため、「耳が遠くなった」という自覚症状が現れることもあります。
この他、腫瘍の発赤(赤くなること)や痛み、出血、耳だれなどが現れることがあります。また、顔面神経麻痺による症状として、口から水をこぼしてしまう、目を閉じることができないといった症状が生じることもあります。
検査・診断
外耳腫瘍のなかには、見た目の変化のみで診断が付けられるケースがあります。その一方で、症状だけでは良性か悪性かを正確に判断できないケースもあります。がんの可能性が疑われる場合は、CTやMRIなどの画像検査が重要になります。撮影した画像から、病変がどの程度進展しているかを確認することができます。
外耳腫瘍の原因や種類を特定するために、組織を採取して顕微鏡で確認する病理検査が行われることもあります。病理検査は必ずしも必要な検査ではありませんが、がんを疑う場合には診断を確かなものとするために重要な検査となります。一回の検査で診断が確定されない場合もあり、複数回の検査が必要になることもあります。
治療
外耳腫瘍の治療方針は、腫瘍の種類によって異なります。
悪性の外耳腫瘍の治療
がんが原因である場合には、手術療法、放射線療法、化学療法などを組み合わせた治療が行われます。
外耳の周辺には脳や内耳、中耳など、さまざまな機能を保つ器官が集まっています。治療に際しては、がんの根治を目指すことはもちろん、周辺の重要な臓器の機能を保つことも大切です。そのため、手術をするときにはどの程度まで腫瘍を切除するべきか、正常な組織も含めて切除する場合はどの範囲で行うべきかといったことを、慎重に判断することが大切です。
また、外耳は外からみえやすい部分でもあるため、切除を行う場合は、美容的な観点も考えて処置を行う必要があります。
良性の外耳腫瘍の治療
良性の外耳腫瘍でも、生じた部位によっては見た目に問題をもたらすことや、聞こえの低下を引き起こすことがあります。これらの問題に対応するため、切除手術などの治療が検討されることがあります。
また、アテロームの場合には、感染症を合併して痛みを引き起こすことがあります。膿が蓄積するケースもあるため、切開して膿を排出することや、抗生物質による治療を行うことがあります。外耳腫瘍の種類は多様であり、治療方針もそれぞれで大きく異なります。そのため、正確な診断に基づいた治療方針の決定がとても重要です。
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