治療
大腿骨頚部骨折の治療としては、保存治療または手術治療を行います。
骨折した骨のずれがない場合や、全身の状態、ほかの病気などを考慮して手術ができない場合は、ベッド上安静による保存治療が検討されることもありますが、一般的には早期の回復をめざして“骨接合術”または“人工骨頭置換術”という手術治療を行います。
骨接合術
折れた骨同士を金属の器具で固定する治療方法です。折れた部分のずれがほとんどないステージIまたはIIで選択されます。手術時間が短く、出血量も少なく済みます。
しかし、十分に固定ができていないと骨癒合(骨がつくこと)せず、偽関節とよばれる状態となったり、骨頭への血流が滞って骨頭壊死や骨頭がつぶれる遅発性骨頭陥没などの合併症を生じたりする可能性があります。これらの合併症が生じた場合には人工骨頭置換術での再手術が必要になります。
人工骨頭置換術
折れた骨頭を取り除き、人工の骨頭に置き換える手術です。一般的にはステージIIIやIVが適応となります。
骨接合術と比較すると手術時間が長く、出血量も多いものの、骨頭自体を切除するため骨頭壊死や遅発性骨頭陥没などの懸念はありません。ただし、脱臼や感染などの合併症の可能性があるほか、手術から長期間が経過すると人工骨頭のゆるみや骨盤側の軟骨がすり減り、再手術が必要になることもあります。
術後は体力や筋力が低下しないように早期からリハビリテーションを開始します。
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