原因
日本紅斑熱は、Rickettsia japonicaと呼ばれる細菌に感染することから発症します。Rickettsia japonicaは、リケッチアと呼ばれる細菌の一種類です。リケッチアに属する細菌は、人などの細胞に感染することで初めて増えることができるという特徴を持っています。また、リケッチアはダニやノミなどの昆虫に寄生しており、そうした昆虫に人が刺されることで感染します。日本紅斑熱の場合は、マダニが病原体の運び屋となります。同じくリケッチアに分類される細菌により引き起こされる病気としては、ツツガムシ病が代表的で、症状に類似する点があることなどから、比較されることの多い疾患です。
また「日本紅斑熱」という名前から推察されるように、本疾患は日本特有の疾患です。国内を感染推定地域とするリケッチア症は、極東紅斑熱をはじめとする複数の紅斑熱群リケッチア症、ノミ媒介の発疹熱なども報告されています。世界を見渡すと、リケッチアを原因として紅斑を呈する疾患はいくつか存在します。たとえば北米大陸にみられるロッキー山紅斑熱、地中海沿岸にみられる地中海紅斑熱、オーストラリアにみられるクインズランドダニチフスなどが代表的です。わが国において輸入感染症として、African tick bite feverなどの各種紅斑熱群リケッチア症、発疹熱、2016年にはクイーンズランドマダニチフスも初めて報告されました。
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