つつがむしびょう

ツツガムシ病

最終更新日
2022年08月02日
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2022/08/02
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

ツツガムシ病とは、ダニの一種であるツツガムシに刺されることで、ダニの保有する“オリエンティア・ツツガムシ”という細菌に感染して発症する病気のことです。ダニに刺されて感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は5~14日ほどで、39℃以上の高熱と体幹部に発疹(ほっしん)が生じるのが特徴です。また、ダニの刺し口が目立つことが多く、その周囲のリンパ節の腫れがみられることも少なくありません。

この病気は北海道と沖縄を除く全国各地で発生している感染症であり、特に春~初夏、秋~初冬の時期に発生しやすいとされています。主な感染場所はツツガムシが生息する山や森などであり、ツツガムシの発生が報告されている場所へ出入りする際は長袖長ズボンなどダニ対策を徹底することが大切です。

治療は抗菌薬による薬物療法が主体となりますが、診断が遅れて適切な治療がなされない場合は重症化して命を落とすケースもあるため注意が必要です。

原因

ツツガムシ病はオリエンティア・ツツガムシという細菌による感染症の一種です。オリエンティア・ツツガムシはダニの一種であるツツガムシが持っており、このツツガムシの幼虫がヒトを刺すことで感染すると考えられています。

ツツガムシは北海道と沖縄を除いて全国に生息しているとされ、特に幼虫が活動する春から初夏、秋から初冬にかけて発生が多くなる傾向にあります。

症状

ツツガムシ病は5~14日程度の潜伏期間を経た後に倦怠感、頭痛、39℃以上の高熱などの症状が現れ、発熱後3~4日で体幹部から四肢に発疹が広がっていきます。

また、この病気はツツガムシに刺されることによって感染しますが、ツツガムシの刺し口が残っているのも特徴です。刺し口は直径1cmほどで黒いかさぶたのような形状をしており、このような刺し口・発熱・皮疹をツツガムシ病の“主要三徴候”と呼びます。

また、刺し口周囲のリンパ節が腫れることも多く、重症な場合には全身のリンパ節が腫れたり、肝臓や脾臓(ひぞう)などの腫れが生じたりすることもあります。さらに重症化すると多臓器不全播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)など重篤な合併症を併発して命を落とす可能性があります。

検査・診断

ツツガムシ病の診断の際にはツツガムシの刺し口を確認することが大切です。ツツガムシは体のどの部位にも吸着する可能性があるので、腕や首など肌が露出したところだけでなく、(わき)や陰部、頭髪内などもくまなく観察する必要があります。

そのうえでツツガムシ病が強く疑われる場合には、以下のような検査が行われます。

血液検査

ツツガムシ病の確定診断には、オリエンティア・ツツガムシに対する抗体(ツツガムシを攻撃するタンパク質)の有無を調べるために血液検査が必要です。

また、この病気は重篤な合併症を引き起こすことがあるため、全身の状態を把握するために炎症や貧血の程度、肝機能、腎機能などを調べる必要もあります。

画像検査

ツツガムシ病はリンパ節、肝臓や脾臓の腫れを引き起こすこともあるため、状態を確認するためにCTや超音波による画像検査を行うことがあります。

治療

ツツガムシ病の治療は、テトラサイクリン系を第一選択とする抗菌薬による薬物療法が主体となります。早期の段階で適切な治療が行われた場合は3日程度で回復していきますが、治療が遅れた場合は命に関わることもあるので注意が必要です。

また、多臓器不全播種性血管内凝固症候群などの重篤な合併症を併発した場合は、呼吸や循環管理などが必要になることも少なくありません。

予防

ツツガムシ病はツツガムシの吸着を避けることで予防することが可能です。春~初夏、秋~初冬などは、ツツガムシ病の発生が報告されているエリアの草むらや山などへの立ち入りはできる限り避け、立ち入る場合には長袖、長ズボン、手袋などツツガムシに刺されにくい服装を心がけましょう。また、ツツガムシに刺された場合でも、オリエンティア・ツツガムシが人にうつるまでには少なくとも6時間以上必要とされています。そのため、刺された可能性がある場合は、ツツガムシが肌に吸着していないことを確認し、入浴して洗い流すことが推奨されています。

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