治療
初期段階の爪囲炎では、抗菌薬による薬物療法と冷湿布による治療が検討されます。進行して膿がたまっている状態の場合、これらの治療に加えて皮膚を切開して膿を排出する治療が検討されます。爪の下の皮膚に膿がたまっている場合は爪を切除し、下にたまった膿を出すこともあります。なお、皮膚に爪が食い込むことで生じている爪囲炎の場合は、陥入爪の治療も行います。
カンジダ性爪囲炎の場合も一般的に薬物療法を行います。軽症の場合は、抗真菌薬の塗り薬を使用することで治癒が期待できますが、塗り薬を塗ってもなかなか治らない場合などには、抗真菌薬の飲み薬による治療も検討されます。
分子標的薬が原因の場合は、病変部の洗浄やガーゼ保護と保湿剤塗布などのスキンケアを積極的に行うことが大切です。軽症例ではストロングクラス以上のステロイドの外用薬とアダパレンの外用の併用も有効で、テーピング(スパイラルテープ法)などの補助的療法を加えることもあります。症状が強い場合はステロイドのランクを上げ、ミノサイクリンやクラリスロマイシンなどの抗生物質を投与します。不良肉芽を伴う場合は、液体窒素による凍結や電気焼灼を行うこともあります。
日常生活に制限が生じている場合は、爪甲の部分切除や人工爪法などの可逆的外科的治療を検討し、もっとも重症の場合には爪母を含めた部分抜爪が適応となることもあります。治療抵抗性の場合は、分子標的薬の一時休薬や減量を行う場合があります。
参考文献
- EGFR 阻害薬に起因する皮膚障害の治療手引き ―皮膚科・腫瘍内科有志コンセンサス会議からの提案―(https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/news/s_20170228egfr.pdf)
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