かんにゅうそう

陥入爪

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の側縁先端が周囲の皮膚に食い込み、皮膚に炎症を起こした状態です。おもに足の親指に発症することが多く、皮膚に痛みや発赤、腫れを引き起こします。陥入爪を発症すると、局所の感染症を併発することもあります。

陥入爪は、爪の切り方が原因で発症することが多いです。そのため、爪の切り方に注意を払うことが発症予防につながります。軽症の陥入爪であれば、セルフケアでも治療は可能ですが、重症化した場合は医療機関による治療介入が必要です。

治療方法には、弾性ワイヤー矯正、フェノール腐食法、アクリル人工爪療法、VHO療法、CO2レーザーによる矯正法などがあります。メリット・デメリットを考慮し、症状にあった適切な治療方法を選択することが重要です。

原因

陥入爪は多くの場合、爪を短く切り過ぎてしまうことを原因として発症します。爪を短く切りすぎると皮膚と爪に段差が生じ、この状況で爪全体が伸びると、皮膚への食い込みの原因となり陥入爪が発症します。

またその他の原因として足のサイズに合わない窮屈な靴を履くことも挙げられます。常時爪が側方から締め付けられると、爪が皮膚に食い込む状況が促進されます。また、指の外傷をきっかけに陥入爪が引き起こされることもあります。

症状

陥入爪は、爪が皮膚に食い込み炎症が生じ、痛みや腫れ、発赤などを引き起こします。皮膚の食い込みによる炎症をきっかけに、過剰に肉芽形成が起き、出血を伴うこともあります。

さらに、皮膚に感染症を併発することもあり、重篤な場合には皮膚の潰瘍や壊死を認めることがあります。感染症を併発すると、場合によっては皮膚に感染が留まることなく、奥深く骨にまで感染が広がることもあります。こうした重篤な合併症は、特に糖尿病にかかっている方に生じやすいです。糖尿病は血管障害をきたす病気であるため、手足末端の指先への血流が不足しがちです。その結果、糖尿病では陥入爪に伴う炎症から皮膚感染に弱く、局所での病状増悪につながりやすいです。

検査・診断

陥入爪の診断は、基本的に局所の所見をもとにして行います。また、糖尿病が存在すると陥入爪の症状が増悪しやすいため、血液検査(HbA1cと呼ばれる検査)を通して糖尿病の病状コントロールを推定することがあります。

さらに、陥入爪ではまれに骨への感染波及が生じることもあります。骨への影響を評価するために、MRIなどの画像検査が併用されることもあります。

治療

軽症の場合

陥入爪の治療は、軽症であればテーピングを使用して自己治療を行うことも可能です。食い込んでいる爪を持ち上げることを目的にテーピングを巻いて、皮膚と爪の間の距離を保つ力を加えます。また、爪と皮膚の間にコットンをおいて、爪と皮膚の直接的な接触を避け、皮膚への爪の食い込みを防ぐこともあります。軽症であれば、こうした治療方法により治癒が望めます。

重症化している場合

重症化したものは、医療機関にて下記のような治療が行われます。

  • 一部爪の切除
  • 弾性ワイヤー矯正
  • フェノール腐食法
  • アクリル人工爪療法
  • VHO療法
  • CO2レーザーによる矯正法 など

爪の切除では食い込みのある爪(側縁)を切除しますが、再発も懸念されます。弾性ワイヤーは、爪の先端に2つの穴を開け、そこに形状記憶ワイヤーを通し、固定剤にて固定します。ワイヤーのまっすぐに戻ろうとする力を利用して湾曲を矯正します。フェノール腐食法は、原因となる爪の根元を根本的に対処する方法ですが、術後、爪の変形なども懸念されます。アクリル人工爪療法では、短くなっている爪を補う人工爪を使用し、陥入爪を治療します。VHO療法は、爪の両端をフックで引っ掛けて食い込んだ爪を持ち上げる方法です。

さらに、陥入爪に細菌感染が合併した場合には、抗生物質入りの軟膏を塗布します。重症度によっては、内服や点滴での抗生物質加療も検討されます。

予防

陥入爪は爪の切り方が原因となるため、切り方に注意することも大切です。爪を短くし過ぎたり、爪の白い部分をすべて切ったりすると、陥入爪が誘発されます。できるだけ爪の先端が真っすぐで、爪の形が四角い形になるように、爪を切りすぎないことが大切です。また、サイズが合わない靴も陥入爪の原因となりえるため、自分の足に合ったサイズの靴を履くように心がけることも大切です。

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