治療
甲状腺クリーゼの治療は、過剰に亢進している甲状腺ホルモン産生や分泌を抑制するための特異的な治療に加えて、全身各種臓器で出現している症状に対しての対症療法に大きく分けることができます。 甲状腺そのものに働きかける治療方法としては、甲状腺ホルモンの産生・分泌を抑えるため無機ヨウ素薬(無機ヨード)であるヨウ化カリウムや内用ルゴール液を私用します。その他甲状腺のホルモンを合成する機能を押さえる大量の抗甲状腺剤=チアマゾールやプロピルチオウラシルと無機ヨードを投与することも有効です。また、副腎皮質ホルモンであるヒドロコルチゾンが投与されることもありますが、これにより活性化作用の強い甲状腺ホルモンが産生されるのを抑制することが期待されます。ステロイドを投与することは、甲状腺クリーゼ時に合併することの多い急性副腎不全に対応する意味合いもあります。
対症療法としては、頻脈に対してはβ遮断薬が投与されます。脱水を伴うこと多いため、輸液を行うことも必要になります。甲状腺クリーゼでは黄疸を発症することもあるため、これに対応して血漿交換が行われることもあります。 甲状腺クリーゼの死亡率は10%ほどと高く、以上のような集学的な治療を行うことがとても大切になります。
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