けいしゅく

痙縮

最終更新日:
2024年08月28日
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2024/08/28
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治療

痙縮の治療は多岐にわたり、症状に応じて内服薬による治療、ボツリヌス療法、バクロフェン髄注療法、リハビリテーション、手術などを組み合わせて治療を行います。

内服薬

通常、内服薬は初期治療として行われます。主に筋肉の緊張を緩める筋弛緩薬を内服します。副作用を抑えるため、少量から始めて徐々に増やしていきます。症状に応じて複数の筋弛緩薬を組み合わせる場合もあります。

ボツリヌス療法

ボツリヌス菌が作る神経毒(ボツリヌストキシン)から精製された薬を、痙縮の強い筋肉に注射する治療法です。内服薬と異なり、注射をした筋肉にだけ効果を発揮します。ボツリヌストキシンは神経の伝達を抑える作用があります。これにより、筋肉を緊張させる神経のはたらきを抑えて痙縮を和らげます。

治療の効果は一時的で、以下のような経過をたどります。

  • 注射後10日頃:薬の効果が出始める
  • 約1~2か月後:効果が最大になる
  • 約3か月後:効果が徐々に弱まる

なお、ボツリヌス菌は食中毒の原因菌として知られていますが、ボツリヌス菌そのものを体内に入れるわけではないため、ボツリヌス菌に感染することはありません。

バクロフェン髄注療法(ITB療法)

腹部にポンプを埋め込み、筋弛緩薬のバクロフェンを脊髄近くのスペース(脊髄腔)に持続的に注入する治療法です。痙縮の原因となる脊髄付近に直接薬を投与することで、痙縮の症状を和らげます。内服薬やボツリヌス療法での効果が乏しい場合に行われます。一方で、内服薬やボツリヌス療法などのその他の痙縮治療との併用も可能です。

手術の流れ

治療前にスクリーニングテスト(トライアル)を行います。バクロフェンの試し打ちによって痙縮の症状が緩和されるかを確認します。効果が確認されれば、腹部にポンプとカテーテルを埋め込む手術を行います。

ポンプとカテーテルの埋め込み手術

カテーテルという細い管を髄腔内に留置し、カテーテルを通してポンプ内のバクロフェンを直接髄腔内に投与し続けます。手順は次のとおりです。

  • カテーテルを脊髄腔に挿入する
  • 腹部にポンプを植え込む
  • ポンプと脊髄腔のカテーテルをつなげる

ポンプ内のバクロフェンの入れ替えや量の調整は、およそ3か月ごとに行います。ポンプも定期的に交換が必要で、およそ7年ごとに手術で交換します。

リハビリテーション

リハビリテーションを行うことで痙縮によってできなかった動作が行えるようになったり、ほかの治療の効果が上がったりすることがあります。具体的な内容としては、拘縮を予防するためのストレッチや手足の関節を動かす訓練、筋肉を強化するための筋力トレーニングなどがあります。さらに、バランス能力や移動能力の向上を図るため、姿勢を保つ訓練や歩行訓練も行います。

そのほかの手術

内服薬やボツリヌス療法などの保存的治療で十分な効果が得られない場合や、重度の痙縮の場合に手術が検討されます。また、痙縮に伴って生じた変形を矯正したり、筋肉や腱を延長・切離したりして運動機能の向上を図る整形手術が行われることもあります。

末梢神経縮小術

痙縮の原因となる神経を細くする手術です。この手術では、過剰な筋肉の緊張を引き起こしている神経の一部を切除することで、痙縮を軽減します。手足の一部など狭い範囲の痙縮の場合に行われます。

脊髄後根切除術

痙縮に関わる神経の一部を切断する手術です。脊髄の後根*には手足の筋肉から脊髄へ感覚を伝える神経が通っています。この脊髄の後根を部分的に切除することで、筋肉への過剰な刺激を減らし、痙縮を軽減します。主に脳性麻痺の下肢の痙縮に対して行われます。一度切除した神経は元に戻せないため、慎重に適応を判断する必要があります。

*脊髄の後根:脊髄の後ろ側に存在する脊髄神経の束。

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