概要
白板症とは、口の中の粘膜にみられる、擦っても除去できない白斑(白い病変)で、歯肉、舌の側面、頬の内側の粘膜に多くみられます。発症年齢は40歳以降に多く、性別は男性に多い傾向があります。
白板症は、がんになる可能性がある口の中の粘膜の病気の代表的なものであり、約10%ががんになるといわれています。がんになる可能性がもっとも高いのは、舌の側面にできた白板症です。確実な治療法は、外科的に病変を全て切除することです。
症状
白板症は粘膜の上皮の角化が亢進し、粘膜が厚くなることで白斑を呈します。一般的に周囲の正常な粘膜との境界は明瞭です。口の中の1つの部位にできる場合もあれば、多くの部位にできる場合もあります。
白斑の形態や大きさはさまざまで、表面が平滑な白斑やしわ状な白斑、一部がいぼのように隆起した白斑もみられます。また、紅斑(赤い病変)やびらん(粘膜の浅い欠損)を伴うこともあります。白斑のみの場合には、痛みがないことが多いですが、紅斑やびらんを伴うと接触痛や食べ物による刺激痛が生じます。
検査・診断
白板症は、見た目や擦っても除去できないという特徴から診断することが可能ですが、病変の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察する検査(生検)により病理組織学的に診断することが重要です。
治療
白板症の原因となりそうな局所的な物理的刺激がある場合には、それを除去します。たばこを吸う場合、禁煙が必要です。
白板症の治療は、一般的には経過観察か外科的に切除するかのどちらかで、病変を全て切除することが確実な治療法です。白板症を治す塗り薬や飲み薬はありません。経過観察を行う場合には、がんになる可能性があるため、定期的な経過観察が重要になります。
予防
白板症の誘因となるような過度な喫煙や飲酒を控え、規則正しい生活を心がけることと、不適切な入れ歯や歯の詰め物、むし歯があれば歯科医院を受診し治療することが大切です。
また、白板症は痛みなどの自覚症状がないことが多いため、定期的に口の中をチェックしたり、歯科医院を受診し診察してもらったり、口腔がん検診などを受診したりすることを心がけることも大切です。
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