がんかていこっせつ

眼窩底骨折

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

眼窩底骨折とは、眼球が位置する「眼窩」と呼ばれる空間の床に当たる「眼窩底」が骨折した状態を指します。眼窩底を構成する骨は眼窩のなかでも薄いため、眼球や周辺部位の外傷により骨折を来しやすいです。交通外傷や転倒などに加えて、ラグビーやサッカー、ボクシングなどの肉体的なコンタクトが多いスポーツに関連して発症することもあります。

眼窩底骨折では、目を支配する神経、血管、筋肉などが同時に障害を受けることがあります。その結果、ものが二重に見える、目を上に上げることができない、血のまじった鼻水が出る、眼球が眼窩の中に落ち込む、などの症状を呈することになります。

眼窩底骨折では保存的な治療方法が取られることもあれば、手術が行われることもあります。同時に合併する可能性のある骨折の状況、神経症状、保存的治療による経過などを総合的に判断し、手術療法のタイミングを決定することになります。

原因

眼窩は前方は開けた空間で、眼窩の床、両側の壁、天井はそれぞれ骨で囲まれています。なかでも眼窩の床を構成する骨の薄さは薄く、外部からの外傷をきっかけに骨折を起こしやすいです。

顔の正面に前方からの外力が加わると、力は眼窩全体に対してかかるようになります。外圧は物理的な力に対して最も脆弱である眼窩底を介して上顎洞に向けて逃れ、これをきっかけとして眼窩底骨折を起こすことがあります。こうした外力の伝わり方で発症する眼窩底骨折を、吹き抜け骨折(blowout fracture)といいます。

また眼球に対する間接的な外力で眼窩底骨折を発症することがあります。たとえばボクシングなどで頬にパンチを受けた際、頬の骨を介して外力が周囲に伝播し、脆弱な眼窩底が骨折することがあります。
 

症状

眼窩底骨折では、視力や眼球の動きを担う重要な神経や筋肉、血管などが障害されるため、視覚などに関連する症状があらわれます。眼窩底骨折で第一に認めることの多い症状は複視で、さらに眼球運動の障害と関連して上下左右に眼球を動かしにくくなることもあります。

また筋肉に対しての痛みが迷走神経反射を誘発し、その結果として吐き気や嘔吐、徐脈などの症状を呈することがあります。さらに、目を動かす際に痛みを感じるほか、頬の皮膚感覚が鈍くなったり、鼻水に血が混じったりすることもあります。外傷による眼窩底骨折では、発症後すぐでは眼球が突出しますが、数日たつと眼球陥凹を示すようになります。
 

検査・診断

眼窩底骨折の診察では、最近の外傷歴について確認するほか、眼球の運動障害、運動に関連した痛みなどを詳細に評価します。

眼窩底骨折では、眼球周囲に位置する筋肉が骨折部位にはまり込んで眼球運動障害を起こしていることもあるため、麻酔の点眼薬を使用した状態で他覚的に眼球を動かし、眼球の可動性を確認することもあります。眼窩底骨折ではCTやMRIといった画像検査が重要になります。この検査では、眼窩底以外の骨折状況のほか神経や筋肉の損傷状況や出血の程度なども同時に評価可能です。
 

治療

眼窩底骨折を発症すると、複視などの症状が生じますが、時間経過とともに徐々に改善することも多いです。しかし、数週間以上経過しても諸症状が改善されない、もしくは発症時から強い複視があり日常生活に支障がある、完全に上方に眼球を動かすことができない、目の動きに関連した痛みが非常に強いなど症状が強い場合には、手術による治療介入が行われます。眼球陥没に対しての手術が行われることもありますが、経過の予想が難しく治療介入のタイミングがより困難を極めることもあります。

眼窩底骨折では骨が欠損していることが多く、眼球の位置をしっかりと固定するために医療材料で欠損を補填する必要があります。使用される材料としては、自身の肋軟骨や硬膜、チタンメッシュ、テフロン、ポリエチレンなどがあります。
眼窩底骨折では、保存的な経過で症状が改善することも充分期待できるものである一方、適切なタイミングでの治療介入を行うことが重要です。
 

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