ねんまくだつしょうこうぐん

粘膜脱症候群

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

粘膜脱症候群とは、直腸の粘膜がずれ落ちる(脱出する)ことで、隆起性の病変や潰瘍性の病変をきたす良性の病気です。20~30代の若年者に多いとされます。

粘膜脱症候群は、慢性的に便秘を抱えており、強いいきみによる腹圧で直腸粘膜が損傷を受けることにより発症します。排便時の強いいきみのほか、排便時間も長いことが、粘膜脱症候群の特徴です。

粘膜脱症候群では、肛門外への脱出や出血などの症状が現れることがあります。そのため、内視鏡検査でよく似た画像を示す直腸がん炎症性腸疾患などとの見極めが重要とされています。適切な診断のためにも、いきみなどの排便習慣を医師に詳しく伝えることが大切です。

原因

通常、排便時には恥骨直腸筋が緩み、肛門が開きます。しかし粘膜脱症候群では、恥骨収縮筋が締まってしまう現象がみられます。このように、いきみと筋肉がうまく連動しないことが、過度のいきみを誘発する要因であると考えられています。

また強くいきむことで骨盤内を支える筋肉は弱くなることがあり、粘膜脱症候群を発症しやすくなります。

症状

粘膜脱症候群の症状には以下のものがあります。

  • 排便時の出血
  • 粘液の分泌
  • 残便感
  • 排便後すぐにトイレに行きたくなる
  • 肛門からの腫瘤脱出

など

長年にわたる排便時の過度のいきみを習慣としていることがほとんどです。ずれ落ちた粘膜は傷を受けやすく、また本来の位置にないため血流も悪化して潰瘍が生じます。また粘膜脱症候群に核(いぼ痔)を合併することもあります。

検査・診断

問診や肛門の診察で粘膜脱症候群が疑われる場合は大腸内視鏡検査を行います。大腸内視鏡検査により、潰瘍性病変や隆起性病変などの有無や広がりを確認することができます。

その後、病変部分から組織を採取し、病理検査で繊維筋症という特徴的な所見が確認されれば確定診断がつきます。しかし、粘膜脱症候群の病変は硬いため、生検だけでは十分な組織を得ることができず、確定診断ができないことも少なくありません。このような場合は、内視鏡を用いたり肛門を介して器具を挿入したりして病変を切除することで診断と治療を同時に行うこともあります。

排便習慣を伝えることが大切

粘膜脱症候群は比較的最近になって提唱された病気です。また、内視鏡検査で確認できる肉眼像だけでは直腸がん炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎クローン病)などとの見極めが難しい症例も存在します。粘膜脱症候群の可能性を疑うきっかけのひとつは、「過度のいきみを伴う排便異常」です。そのため、医療機関では担当医に自身の排便習慣を伝えることが大切です。

治療

保存的治療

まずは排便習慣の正常化が重要です。過度にいきまなくてもスムーズに排便できるよう、生活習慣の改善や高繊維食の摂取がすすめられます。また便を柔らかくするため緩下剤の使用や座薬の使用も考慮されます。

手術

肛門からの脱出や腫瘤性病変からの出血が高度な場合は、手術により切除することもあります。結紮切除術と呼ばれる手術が行われることが一般的です。

内視鏡治療

隆起性病変のある粘膜脱症候群に対し、内視鏡で切除術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)を行い、治癒したとの報告例もあります。

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