概要
細菌性肺炎とは、細菌が原因となって発症する肺炎を指します。比較的ありふれた疾患であり、日常生活を送るなかで誰でも発症するリスクがある病気です。
細菌性肺炎を含めた肺炎は日本においては、がん、心臓病に次いで第3位の死因(平成 28 年 人口動態統計より)として挙げられています。高齢者が細菌性肺炎にかかった場合には重症化するリスクも高いため、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなど、予防が期待できるワクチン接種は行うことが大切です。
原因
肺炎球菌・インフルエンザ桿菌・黄色ブドウ球菌・クレブシエラなどの細菌が原因となります。肺炎球菌やインフルエンザ桿菌は、細菌性肺炎としては頻度が高いものです。インフルエンザウイルスに罹患した後に肺炎を発症することもありますが、この場合には黄色ブドウ球菌が原因となることが多いようです。
高齢者では、嚥下機能が衰えていることから、口腔内の細菌が気道系に入り込んで肺炎を起こすことがあります。こうしたタイプの肺炎は、特に誤嚥性肺炎とも呼ばれます。また、入院中には挿管管理などの人工呼吸管理を受けることもあります。こうした場合には、日常生活ではあまり問題とならない細菌(緑膿菌など)が原因となって肺炎を起こすこともあります。
症状
肺は、酸素と二酸化炭素のガス交換を担う重要な臓器です。肺炎を起こすことでこうした機能が障害を受けるようになるため、呼吸器関連の症状が前面に出ます。具体的には、一般的に炎症を反映する症状である発熱に加えて、咳や痰、息苦しさなどが現れます。肺の機能が低下していることを補うために、呼吸回数が増えたり、肩で呼吸をしたりといった症状もみられます。
症状の強さや重症度は、年齢や原因となっている細菌によっても異なります。高齢者の肺炎では、症状があまり明らかにならないまま重症化することもあります。何となく元気がない程度でも肺炎を起こしていることがあるため、注意が必要です。
検査・診断
細菌性肺炎の検査では、胸部単純レントゲン写真などの画像検査が行われます。血液検査を行い、白血球やCRPの炎症反応の確認、酸素・二酸化炭素の血中濃度を測定することもあります。また、ガス交換の重症度を把握するために、経皮的に酸素濃度を測定することもあります。
細菌性肺炎では、原因となっている細菌が何かであるかを特定するための検査も行われます。具体的には痰を採取し、内部に潜む細菌を顕微鏡で確認して推定します。培養検査を行い、原因となっている細菌を確認することもあります。この検査を通して、細菌がどのような抗生物質に効果を示すかの検査も行います。
治療
原因となっている細菌を推定したうえで、効果が期待できる抗生物質を使用します。最終的には治療経過や検査結果を判断しつつ、抗生物質を継続するべきか、別のタイプの抗生物質へ変更すべきかなどを判定します。呼吸障害が強い場合には、酸素投与や人工呼吸器管理が必要になることもあります。そのため、重症例においては入院での治療が適用となります。
細菌性肺炎の中には、ワクチン接種をすることで予防することが可能なものもあります。肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン(続発しうる黄色ブドウ球菌肺炎の予防になるといえます)を接種し、細菌性肺炎の発症を予防することも重要です。また、手洗いやうがいなど、一般的な対策を講じることも大切です。
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