原因
肺塞栓症は肺に血栓が詰まってしまう病気ですが、多くの場合、血栓は、最初から肺で形成されるわけではありません。むしろ、体の別の部位で形成された血の塊が、血液にのって肺動脈まで運ばれることから肺に血栓ができます。
血栓が形成される部位は、下肢の静脈であることが多いです。下肢は、重力の関係から血液がたまりやすいです。また、血液は、流れが遅くなり滞った状態で固まりやすくなる性質があります。そのため、長時間足を動かさない状況においては、下肢に血液の塊である血栓が形成されやすくなります。形成された血栓が何かの拍子ではがれると、血液にのって全身に流されます。血液の流れにのった血栓は、心臓を介して肺動脈に入り込み、そこで詰まります。こうして肺塞栓症が発症します。
血栓が形成される要因には、長時間動かないこと(長距離移動時や病院のベッドでの安静、ギプス固定、脳梗塞による足の麻痺など)以外にもいくつか知られています。たとえば、妊娠期間中には子宮の大きさが関連して血液の流れが滞りやすくなり、血栓が形成されやすくなります。足の筋肉が弱くなり、筋肉による静脈ポンプ作用が弱まることで血流が悪くなり、血栓の原因となることもあります。また先天的に血液が固まりやすい病気を持つ方もいます。
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